出版社内容情報
シェイクスピアが描いたさまざまな愛の姿――「突っ走る青春の愛」「夢が実を結ぶ愛」「揺らぎ、迷う成人の愛」とは何か。劇作家としての充実期である三十代から四十代前半期の作品を中心に、彼の成長・円熟のプロセスと軌を一にした恋愛観の深化を豊かに読み解く。小田島シェイクスピア・シリーズ第3弾。
目次
1章 シェイクスピアの実人生の女性像(母メアリー・アーデン;姉妹たち ほか)
2章 突っ走る青春の愛(『ロミオとジュリエット』;『夏の夜の夢』 ほか)
3章 夢が実を結ぶ愛―青年から大人へ(『から騒ぎ』;『お気に召すまま』 ほか)
4章 揺らぎ、迷う成人の愛(『ハムレット』;『オセロー』 ほか)
5章 ちょっと気になる愛の台詞(恋の軽い翼でこの塀は飛びこえました。―ロミオとジュリエット・第二幕第二場;恋心ってやつは叱りつけて追い出すことはできません。―じゃじゃ馬ならし・第一幕第一場 ほか)
著者等紹介
小田島雄志[オダシマユウシ]
1930年旧満州・奉天生まれ。東京大学名誉教授、東京芸術劇場名誉館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きりぱい
10
突っ走る愛から、自分を見直す愛や迷いが生じる愛まで、戯曲に表れる愛の過程の解釈が、ほんのり洒落っ気のある穏やかなトーンで語られる。『ハムレット』の章が面白かったかなあと反芻しつつ、『夏の夜の夢』も『お気に召すまま』も『オセロー』も・・と、結局全部興味深い。執筆順なんて気にしたことがなかったけれど、成長してゆくキャラクターの内面は、作品ごとに感情表現を書き深めてゆくシェイクスピアの経歴でもあった。舞台への関わりから触れられる太地喜和子のジュリエットや、ローレンス・オリヴィエのオセローのエピソードも面白い。2011/03/15
viola
10
新刊メーターで久々の発売を知って、楽しみにしていました^^ 私にとって、シェイクスピアの次に尊敬しているのが小田島雄志さん。 『シェイクスピアの人間学』 『シェイクスピアの戦争・平和学』に続く第3弾だそうです。 著書数が多いためどうしても被る箇所が多いですが、相変わらずの優しい語り口とシェイクスピアへの愛。なんだかもう、読んでいて泣けてくる(涙) 好きな人が好き!と言う台詞や戯曲って、それに触れるたびにどんどん好きになるものですねー。 毎度思うことだけれど、プロポーズの返事にスミレって本当素敵です。2011/01/13
和草(にこぐさ)
6
ロミオとジュリエットの純粋な恋から様々な恋愛までをシェイクスピアの戯曲を通じて紹介されている。恋愛学も良かったけど戯曲の解説も良かった。2016/08/28
ms_ri_llll
1
p31、人間は運命に負ける。 p55、芝居の楽しみは人間発見、その最高の武器は感情表現。 p81、「世にあるものはすべて、手に入れてからより追いかけているうちが花なのだ」 p107、クリストファー・マーロー 「まことの恋をするものはみな一目で恋をする💓」 p128、容姿や地位の高さではなく、自分の全てを受け入れてくれる人を愛す。 ★シェイクスピアは、俯瞰して物事を見ている。2019/08/29
沢村駿介
1
75。本の大きさが妙に手に馴染む(笑)。自己を劇を通して自覚・再確認する手法にはなるほど。どこかでベテランの声優さんのインタビューでも似たようなこと言っていたな。『女性は程度を、男性は因果を知りたがる』。この本で得た教訓。2013/02/23