内容説明
本書は既成の児童観からまったく自由な立場で、私たち大人を挑発する子どもたちの世界を探訪した、異色の書物である。
目次
序章 挑発する子どもたち
1 子ども部屋の文法
2 祝祭的時空を開く
3 変貌するまなざし
終章 「小」の世界から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koke
9
子どもを異文化を持った他者・異人として見つめ直す内容です。面白く読めましたが、少女漫画・少女文学を扱ったところは、私自身が内容に疎いせいもあってかうまくはまりませんでした。2024/04/02
SY
3
ジブリの映画「崖の上のポニョ」についてのインタビューを受けた宮崎駿は「親がしっかりしないと、ちゃんとした子供は育たない」という、発達心理学的な「常識」を転倒させて、「子供でも育てさせない限り、大人(=親)はろくな人間にならない」と述べている。「ポニョ」は「子供が親を教育する」物語なのだ。と、書いたのは、我々の持つ凡庸な「発達心理学的子供感」を脱するのに好適な書物が、フィリップ・アリエスの「子供の誕生」と本書だからだ。読むことで、僕も「ろくでもない親」から脱却しようともがいた記憶がある。2017/03/24
有智 麻耶
3
子どもを、既存の(=大人の)体系に回収されない「異文化(=他者)」として捉えた論文。子どもの非体系的でいきいきとした生を、大人の目線から意味付けせずにそれ自体として受け入れていくことが大切なんだと思った。現代の少々賢い子どもたちは、幼い頃から体制に順応することが上手な生き方だと悟ってしまい、いわゆる「子どもらしさ」が失われてしまっているのではないかと懸念。わかったつもりの「子ども」に対する、独特な優しい視線が読んでいて心地よかった。2015/11/22
せん
2
現代国語資料整理。
メーテル/草津仁秋斗
2
独自の視点から「子ども」を論じた本。風邪=負の祝祭は、なるほどと思った。あと、少女小説、特に吉屋信子に関する洞察が素敵。2015/08/28