内容説明
勉強ができない理由を、「能力」のせいにしていませんか?「できる」人の「知識のしくみ」が自分のものになる方法を、認知心理学から、やさしくアドバイスします。
目次
第1章 「苦手」ということ(「できない」と「苦手」の違い;「できない」理由を知る ほか)
第2章 「得意」と「素質」(「得意」は「素質」の反映か?;関連をつける取り組み ほか)
第3章 公式はやたらにおぼえない―勉強のコツ1(公式はやたらにおぼえない;わかり方は使え方 ほか)
第4章 この知識のどこがいけないのか―勉強のコツ2(広がらない知識はここがいけない;現実とつながらない知識はここがいけない ほか)
著者等紹介
西林克彦[ニシバヤシカツヒコ]
1944年、台湾高雄市生まれ。東京工業大学理工学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。現在、宮城教育大学教育学部教授。「知識のありよう」をベースに、学習や学習指導をより細かく考えることを実践している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aqua_33
54
子どものために読んでみた(本当は本人に読んでほしいが…)。感想というよりは子どもに伝えたいこと、私自身共感したものを羅列。■人は自分が「できない」という事実に直面するのが嫌→苦手意識の源。■応用の解決←公式という知識+公式を問題に生かすための補助知識。■周囲から刺激や指導を受けながら本人が自覚的に勉強法や取り組み方を変化させなければ(勉強の質的変化)、得意だったものが伸び悩む。■記憶は関連付けると良い。■「わからない」は勉強を進める絶好の機会。《2018年148冊目》2018/08/07
ホークス
41
2009年刊。勉強法と言うより、知識の深めかた、一面的な理解の弊害などを中高生に向けて丁寧に解説。一生勉強だと言うし参考にしよう。本題ではない話も面白い。著者は、大人になるにつれて素質のある無しは気にならなくなってくるよ、と語りかける。「やれたことの全部が自分であって、自分はそれ以上でも以下でもない」と思えてくるのだと言う。重ねてきた努力や、運不運まで含めた自己の受容は、大人になる事だとも言える。現代は個人がこの認識に至りにくいのかも知れない。希望を持ち続けられるのは、有難くもあり辛くもある。などと思った2023/02/06
ま
36
使えない知識を使える形に変えていく。そのために「気付きを見つける」ではなく「自分をわからなくさせる」というのが新鮮な表現。つまり、「こういう場合はこの知識(法則)使えなくね?えーわかんない(泣)」という状態に持っていくこと。新たな知識の獲得は研究者の仕事と思ってたけど決してそうではないのだ。「○○に決まりやそんなん!」「でもわからへんねんなぁ」「何がわからへんのよ~!?」科学もこのやりとりで発展してきたんだきっと。この著者は何気なく通り過ぎた景色に光を当てるのがうまい。オカンが言うには…これは良書。2023/01/11
KAKAPO
36
西林 克彦さんの『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 …』を読んで、積読になっていたことを思い出した本。応用問題が解けないのは、応用力や思考力というような漠然とした能力が不足しているわけではなく、組織的に蓄積されたスマートな補助知識を持っていないためらしい。私たちは無意識のうちに既存知識を働かせて、関連をつけている。効率的な勉強法を考える時、既存知識が使えるかどうか、自分なりに関連がつくことが大切。ある知識をベースに、次々と「わからない」をつくり出していければ、勉強は進展する可能性が出てくる…。 2018/06/13
ひよピパパ
25
勉強のコツを認知心理学の視点からやさしく教えてくれる一書。具体例もあってわかりやすい。「ひろげる」ことと「つなげる」こと。学ぶ上でこの二点が大事だと痛感した。2022/10/16