内容説明
この世界のあらゆる暗闇と罪を、新音楽は自らに引き受けた。新音楽の幸せのすべては、不幸を認識することにあり、新音楽の美のすべては、美の仮象を断念することにある。個人であれ集団であれ、新音楽と関わりをもちたいと思う者はいない。その音楽は、耳に届くことなく、こだますることもなく、やがて消えてゆく。“新音楽”は、破局の時代に対する批判たりうるか。待望の新訳決定版。
目次
序論(題材の選択について;新しい妥協主義;虚偽的音楽意識 ほか)
シェーンベルクと進歩(作品の動揺;素材の傾向;仮象と遊戯に対するシェーンベルクの批判 ほか)
ストラヴィンスキーと復古(真正さ;意図の喪失と犠牲;根源現象としての手回しオルガン ほか)
著者等紹介
アドルノ,テオドール・W.[アドルノ,テオドール・W.][Adorno,Theodor Wiesengrund]
1903‐69。フランクフルト学派を代表するドイツの哲学者、社会学者。フランクフルト大学で哲学博士号(フッサール論)、教授資格(キルケゴール論)を取得。哲学と音楽の両分野に秀で、アルバン・ベルクに作曲を学んだ作曲家でもある。1938年、ナチズムのドイツを逃れてアメリカ合衆国に移住。大衆文化の研究とファシズムを生んだ“権威主義的性格”の研究に携わる。1947年、M.ホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』を出版。1949年帰国後はフランクフルト大学教授となり、ホルクハイマーと共に「社会研究所」を再建、後に所長となる
龍村あや子[タツムラアヤコ]
1951年生まれ。京都市立芸術大学音楽学部教授。専門は音楽美学・社会学、比較文化・比較文明論。東京藝術大学で音楽美学・民族音楽学を専攻した後、ベルリン自由大学で哲学・社会学・音楽学を専攻、ベルリン工科総合大学のC.ダールハウスのもと、アドルノの音楽哲学研究で哲学博士号を取得。現在の主な研究テーマはグローバル化時代の音楽批判論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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