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内容説明
高度情報社会となった今日、図書館の存在価値に改めて注目が集まっている。従来の図書館は貸出サービスに偏重してきたが、近年、文化交流拠点、情報発信拠点、アーカイブ、電子図書館といった新たな役割を重視した取り組みがなされている。本書では、各地の先端的事例を紹介しつつ、図書館は情報ストックをもとにしたサービスを展開し、知の大海に乗り出すためのツールとなるべきとの位置づけを行う。
目次
第1部 図書館を考えるための枠組み(日本の知識情報管理;図書館、知の大海に乗り出すためのツール;交流の場、図書館―日本での可能性;「場所としての図書館」をめぐる議論;図書館における情報通信技術の活用)
第2部 公立図書館論の展開(公立図書館について考える―ハコか、働きか;貸出しサービス論批判―一九七〇年代以降の公立図書館をどう評価するか;地域で展開する公立図書館サービス―続・貸出しサービス論批判;公共図書館学とポスト福祉国家型サービス論;「図書館奉仕」vs.「サービス経済」)
著者等紹介
根本彰[ネモトアキラ]
1954年福島県生まれ。1978年東京大学教育学部卒業。1984年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。図書館情報大学助教授、東京大学大学院教育学研究科助教授などを経て、東京大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さぜん
47
これからの公共図書館を考えるにあたり共感するポイントが多かった。貸出サービスは基本。その先が必要。利用者が単なる読者で終わらずに、読書による力をつけて課題解決へと考え、調べ、行動し、新たな創造を生むためには何が必要なのか。「知」を得て高めるには公共図書館の基盤が重要となる。本との出会いを提供し、様々な情報提供を可能とするにはやはり人材か。貸出サービスは自動化できる。専門職が力を発揮すれば公共図書館はもっと魅力的な場所になるし、読書が身近になるのでは。2022/11/06
maito/まいと
21
佐賀県武雄市の図書館モデルをきっかけに、問われている「図書館とは何か」。本の無料レンタル屋、勉強スペース、住民の交流の場。どれも提供されているサービスではあるけれど、そこだけ切り取っていいものかどうか・・・より大きな意味での図書館のあり方、そしてこれからどうあるべきかを研究したこの本は、この機会にこそ読んで欲しい1冊。図書館の歴史や変転、海外の図書館レポートも豊富に盛り込まれており、読者が図書館の持つ潜在的価値を感じられるような構成になっている。「図書館戦争」についても触れているのが、密かにツボです(笑)2013/06/10
軍縮地球市民shinshin
14
最近著者の論文集を結構読んでいるが、なるほど、本書もなかなか示唆的だった。なぜ英米では図書館が行政課題として政治家や国民の争点となるのに日本ではまったくならないのか、本好きでは日本人も英米に比べても遜色はないのに図書館数は少ないのか。これらについて著者の答えが本書では書かれているが、日本では儒教文化の影響で書物を「崇め奉る」文化だからだ、というのはどうだろうか?戦後の公共図書館サービスは貸出中心に行ってきたが、それは既に達成されており貸出以外のサービスを推し進めるべきというのはその通りだと思った。2020/08/01
ophiuchi
13
いつも利用している小牧市の図書館で新図書館建設をめぐり住民投票が行われることになったので、AERAでレビューされていたこの本を借りてきた。あらためて小牧市の事業計画も確認してみたが、ここで批判されている貸し出しサービスが中心であることは変わらず、アメニティを重視したものになるようだ(著者が重視するリファレンスサービスについては数行しか触れられておらず、具体的なことは書かれていなかった)。長いこと借りていて言うのも何だけど一冊しかないこれに次の予約が入らなかった。計画を承認した市会議員は誰か読んだのかな?2015/09/21
鹿乃
4
公共図書館は無料貸本屋状態のままで良いのか?目指すべき「地域の情報拠点」としての図書館とはどのようなものなのか、そして「場所としての図書館」の重要性は。ネットワーク技術の進歩や情報の電子化などもあり、図書館の課題は山積みのようだ。「場所としての図書館」の重要性を語った章に私は大いに賛同する。図書館の電子化構想が語られてかなりの年月が経ったようだが、知識の体系を見て理解することのできる施設はやはり必要だ。2013/02/07