出版社内容情報
〔言語学における社会学的方法の基本的問題〕現代思想の源流のひとつとして現在も大きな影響を与えつづけている巨人バフチンの初期の代表作であるとともに言語哲学の基本文献。
内容説明
バフチンは、文学、美学、哲学、言語学、心理学、民俗学等々、数多くの分野に通じ、またその知識を活かした仕事を多面にわたってのこしたわけであるが、この本は、言語の現実のありようの解明を主目的としたものである。
目次
第1部 言語哲学の問題がマルクス主義にもつ意義(イデオロギーと言語哲学;土台と上部構造の関係の問題;言語哲学と客観的心理学)
第2部 マルクス主義的言語哲学の道(言語哲学におけるふたつの思潮;言語 ことば 発話;言語的相互作用;言語におけるテーマと意味)
第3部 構文から見た発話の形態の歴史(発話の理論とシンタックスの問題;〈他者のことば〉の問題;間接話法と直接話法、およびそれらの変形;フランス語・ドイツ語・ロシア語における疑似直接話法)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
擬似間接話法は「私」が主体の間接話法と発言を地の文に埋め込む間接話法の間を行き来する。独仏語では時制の区別は明確だが、ロシア語では緩く、それが文学の創造性を担う一端であると著者はいう。これらの言葉は2通りに解釈できる。言語は主体の時制に囚われない他者の言葉との社会的な動的形成であること。そして言葉の創造性を規範化し、主体と客体に分ける権力が存在すること。著者(複数である著者たち)は形而上学的言語論の批判だけでなく、言語を主体に埋め込んで数量化する現代の権力機構を示唆しつつ、その裏をかく戦略を提示している。2017/02/15