内容説明
佐々木導誉(高氏)は佐々木氏の庶流京極家の出で、近江に本拠を据え、初め北条高時に仕えたが、南北朝動乱期に活躍し、足利尊氏を補佐して幕府の基礎固めに尽力した。多くの国の守護を兼ね、旧来の権威を軽視する「ばさら大名」の典型とされた反面、芸能・文芸に堪能な風流の武将であった。文武両道に秀でた魅力的な風雲児の生涯を描く。
目次
1 父祖の足跡
2 導誉登場
3 動乱のうずの中へ
4 武家権勢導誉法師
5 領国・所領の支配と被官
6 導誉の家族
7 「ばさら」と文芸
8 導誉の晩年
佐々木氏略系図
諸氏略系図(足利一門・二階堂・赤松・御子左)
略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
33
大河ドラマ「太平記」で陣内孝則が演じた佐々木導誉。松永久秀と並ぶ「不遜で有能な悪の華」のイメージ。だが久秀が三好長慶に忠実だったように、導誉も己が認めた足利尊氏のことは裏切っていない。一方、南朝や直義方との争いでは関ヶ原の戦いにおける真田家の如く、敵方に最低限の繋がりを残しておく深謀遠慮が見える。貫きつつ柔軟。時代を代表する「勝ち組」のひとりだが、実は戦で家族を多数死なせている。その辺りの事情も彼の人生哲学に何らかの影響を及ぼした気がする。無常観とか今を生きるとか。歳の離れた妻「ミま」への気遣いも印象的。2022/10/06
Francis
15
今NHKBSプレミアムで再放送中の大河ドラマ「太平記」で陣内孝則さんが演じていた婆娑羅大名、佐々木道誉の評伝。道誉公は名前は有名なのだが、では一体どのような人物であったのかあまり知らなかったが、この本により良く理解できた。激動の動乱の最中で軍功を挙げ、室町幕府の権力の確立に尽力し、連歌などの文化活動に勤しみ、細川頼之を管領に推薦して引退。近江国で「前代以来の大名」として惜しまれながら亡くなった道誉公の生き様は見事というほかはない。2020/06/07
中島直人
12
(図書館)読了。好きだけど、ほとんど知らなかった武将。足利尊氏を支えた武士層の性格を知るのに最適では。私的には大昔の大河ドラマ陣内孝則のイメージが強い。2019/04/14
叛逆のくりぃむ
12
鵺といふ言葉を直樣連想させる足る武將佐々木道誉。その飄々とした生き樣以上に身内の不幸が續いた點は亂世の物悲しさを感じさせる。2015/11/26
hoiminsakura
6
佐々木導誉といえば「ばさら」という言葉が思い浮かぶのでさぞかし派手で乱暴な人生かと思いきや、勿論武勇や知謀で有名ではあるが、事務、交渉の面でも尊氏、義詮を支え続けたことがよくわかった。ばさらに通ずる精神力のなせる技だったかも知れない。子息の秀綱、秀宗を早くに戦で失ったことも将軍からの信頼と行賞に無関係ではなかったろう。高秀は長生きして導誉の跡を継いだので、読んでいてホッとした。自分の中で佐々木導誉のイメージが正しく改まって良かった。2021/01/13