出版社内容情報
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内容説明
八世紀に栄えた寧楽の都平城京で、人々はどのような暮らしを送っていたのか。飲食や宴会のたのしみ、労働や病気の苦しみ…。下級官人が生活の様々な場面で記した木簡を読み解き、そこから浮ぶ彼らのリアルな姿に迫る。
目次
古代と現代をつなぐ瞬間―プロローグ
寧楽点描
役所勤めの日々
生活断章
下級官人たちの主張
新しい時代に向けて―エピローグ
著者等紹介
馬場基[ババハジメ]
1972年、東京都に生まれる。1995年、東京大学文学部卒業。2000年、東京大学大学院博士課程中退。現在、奈良文化財研究所都城発掘調査部主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HMax
32
「古代都市平城京の世界」を詳しくした内容でした。貴族は5位以上、5位の子供は8位からスタート、大学を出ても8位からスタート。夜明け前から出勤し、熱心に勤め、付け届けをし、出世レースを頑張りながら、出てくる食事がまずい、ずる休みの届をだし、コロナならぬ天然痘におびえながら。 2020/06/05
びっぐすとん
15
図書館本。親しみやすい文章で楽しく読める。私は教科書には載ってない庶民の暮らしが知りたい。しかし庶民のことが解るような文書も遺物も少ない、だから研究も少ないという中、木簡や正倉院文書から窺える下級役人の暮らしぶりが面白い。かつて言われていたほど写経生の待遇は悪くないのではないか、図太くずる休みをするのは副業をしていたのではないか、など木簡や文書を鵜呑みにするのではなく、視点を変えると奈良時代のヒラリーマンとも言える下級役人たちの現代人と同じ強かさが見えてくる。確かに文章だと「盛る」のは今もやってる(笑)2019/11/23
かんがく
11
よくある上空からの視点ではなく、地上からの視点で平城京を見る。天皇や貴族ではなく、下級官人、流民、隼人などが平城京でどのように暮らしていたのかが木簡などの史料から活き活きと伝わってきた。下痢になって欠勤届を出す様子など、教科書では絶対に扱われないような実態が面白い。2021/06/02
ミネ吉
7
八世紀、平城京でお役所に勤める、貴族ではない「下級官人」の生活を紹介する歴史読み物。古代に暮らす彼らの生活を知る資料は少なく、平城京内で出土した木簡や正倉院文書といった史料から当時の様子を探る。ポストを得るためのアピール合戦を繰り広げたり、病気と偽って仕事をサボったり、食事がまずい、少ないと文句を言ったりと、以外と身近な古代人の様子がわかり、楽しめた。2023/08/27
唐橋史(史文庫~ふひとふみくら~)
7
著者は自身の歴史観を「お気楽史観」と謙遜していたけれど、出土した遺構や木簡からより深い推測を重ねていく考古学の魅力に溢れていた。文字で記録された以外の普通の人々の暮らしが生き生きと蘇る。恐ろしきは律令国家の厳然たる官僚機構で、現代と同じようなストレス社会だったのかもな、なんて。2014/03/08