内容説明
室町時代、使節や漂流者として日本を訪れた朝鮮の人びと。当時の衣服・髪型から倭寇、食事と酒、稲作の方法まで、彼らが観察した日本の姿を、日本史料で検証して紹介。中世日本の社会・文化を異なる視点から見つめ直す。
目次
中世日本を旅した朝鮮人―プロローグ
日朝関係と日本情報
『老松堂日本行録』往路を読む
宋希〓(けい)のみた京都
『老松堂日本行録』帰路を読む
『海東諸国紀』と復命書にみる中世日本
朝鮮使節のみた対馬
朝鮮人漂流人のみた日本・琉球
李芸と日韓交流―エピローグ
著者等紹介
関周一[セキシュウイチ]
1963年、茨城県日立市に生まれる。1992年、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学、筑波大学)。現在、つくば国際大学・武蔵大学ほか非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金監禾重
6
「amazon和書」で書名を検索しても見つからないのはなぜだろう? 朝鮮の人々の目を通して語られる日本はどれだけ批判に満ちているかと思えば、結局は人による。こき下ろす人もいれば、先進的な部分に目をつける人もあり。本書の中核、宋希璟は京都への往復でたびたび海賊の脅威に怯えながらも、そして儒教的に軽蔑すべき日本の習俗を見ながらも、日本人の中に尊重して付き合える人を見出し、交際している。漢詩によって朝鮮人と日本人が心を通わせるのは江戸時代も明治時代も同じ。2023/10/18
アメヲトコ
3
近世の朝鮮通信使は有名ですが、本書は中世におけるそれを取り上げたもの。メインとなるのは『老松堂日本行録』で、丁寧に解説がされていますが、読み物としてはもう少しメリハリが欲しい気もしました。2014/03/05
bapaksejahtera
2
朝鮮通信使は、江戸時代が知られているし、私も「海游録」を蔵している。室町時代の驚くほど頻繁な訪日は私も知らなかった。本書の引用する「老松堂日本行録」や「海東諸国紀」に述べられた15世紀前半は、朝鮮としても李成桂の建国間もない盛時であり倭寇への打撃を目論む対馬への「応永の外寇」の直後であって、真剣な対日外交の時代の記録である。後年清への服属への嫌悪から小中華として夜郎自大になった朝鮮とは異なる清新の気分があり、日本の貨幣経済や灌漑技術に目を留める観察力もある。中世琉球の姿を伝える貴重な資料でもある。2020/02/06
宗芳
2
少々難解な部分もありましたが、楽しく読めました。以前フロイトから見た日本が、かなり面白かったのでこちらも読んでみました。2013/11/02
橘 劫
1
史料を精読して解釈していって、当時の朝鮮通信使の足取りをドラマチックに書かれています。当時の日本状況を知るためのって言う本編が後半ちょびっとしかなかったのが少し残念2015/11/02