内容説明
日本を世界史の渦へと巻き込んだモンゴルの襲来。飢饉・疫病と跋扈する悪党、滅びゆく鎌倉幕府。後醍醐天皇による新政と崩壊、南北朝の王統対立を経て室町幕府の成立へ、“移りゆく王権”を動乱の時代のなかに描き出す。
目次
序章 『太平記』の時代
1 元寇―モンゴル戦争
2 徳政と得宗専制
3 悪党の時代
4 幕府滅亡と建武の新政
5 南北朝の戦争
6 幕府政治とその分裂
7 バサラと寄合の文化
終章 東アジアの中で
著者等紹介
小林一岳[コバヤシカズタケ]
1957年東京都豊島区巣鴨に生まれる。1990年立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、明星大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浅香山三郎
13
『室町の平和』から、一つ前の時代に遡つて、鎌倉後期から南北朝時代。得宗専制の評価、徳政と寺社興行法など、この20年間ほどの研究成果を手堅くまとめる。文化史の叙述の行き届きにも、著者の真面目さが感じられた。通史を折に触れて読むのはやはり大事だと感じられた。2018/01/20
葉紗
0
題名の通り、蒙古襲来~室町幕府の設立と足利直義の死までを書いています。詳しいですが、文章が読みやすく、初心者でも楽しんで読むことが出来ました。印象的だったのが足利直義の扱われ方です。今まで兄(尊氏)の「有能な補佐役」というイメージでしたが、直義自身も明確な政治ビジョンと強大な権力を手中にしており、ある意味尊氏を上回る、室町幕府の実質最高権力者だったもよう。観応の擾乱が起こった理由が、必然的なことだったのだと、わかった気がします。お互いがお互いを半身として思っていた弟に離反された時の尊氏の気持ちはいかに。2014/07/22
陽香
0
200909012012/07/26
wang
0
鎌倉末から室町初期の混乱期の歴史。武士領国衙領入り乱れ悪党野伏僧兵らにより中央集権が行き渡らない中で動乱が長引いた様子がよくわかる。武士の家制度や領地支配の仕組みが未成熟で成長過程ゆえの混乱と日本という国の形が成立する前段階の様子がうかがえる。2010/10/26
吃逆堂
0
全体としては悪党や民衆に比重を置いているのに、合戦の記述が尊氏周辺だけなのが残念。2010/01/16