目次
1 田沼時代の社会と政治の仕組み(民間経済・社会の充実と幕府の政治・行政;社会の風潮;幕府政治の仕組み;田沼意次の時代;勘定所の権限強化;賄賂汚職の時代)
2 田沼時代の幕府政治―利益追求と山師の時代(幕府財政の動向と再建築;財政緊縮と殖産興業;利益を追求する幕府;物価と流通規制・専売制)
3 田沼意次の積極政策(下総国印旛沼干拓工事;ロシア貿易と蝦夷地開発;大坂豪商への御用金と幕藩財政;貸金会所の設立構想)
4 藩政改革と朝廷の新動向(藩政改革の動きと熊本藩;米沢藩などの改革;朝廷の新しい動き)
5 発展する田沼時代の文化(宝暦・天明文化の発展;新たな学問の展開)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
21
この本が面白いのか田沼時代が面白いのかわからないが、とにかく痺れた。「山師」的な、あまりに「山師」的な時代がこのクソ国家日本にもあったことに驚く。そして本書に紹介されている数多の「山師」たちのみならず、植崎九八郎、佐野善左衛門政言、伊勢貞丈、松平定信、梶野平九郎、近衛内前、一橋治済、御三家といった反「山師」的な者たちや、将軍や天皇、町人や農民ひとりひとりでさえ、「山師」的であることはやはり免れ得ない、それは巻末の略年表だけでもいつまでも眺めていられるほど、あまりに愛しく思えるわずかな時間があったのである。2022/10/30
MUNEKAZ
6
田沼意次と彼が政治を行った時代についてのまとめ。批判される賄賂政治については、田沼個人に責を被せるのではなく、財政の悪化により幕政が目先の「御益」を求める政治に変化していったこと、そしてその風潮の中で「山師」のような有象無象たちが跋扈したことを理由に挙げている。また国学や蘭学の興隆、朝廷儀式の復活、ロシアとの接触など近世後期の流れを作っていく要素の登場にも触れている。2017/08/14
アメヲトコ
3
毀誉褒貶ある田沼時代を再検討した一冊。腰が低く部下にも優しい田沼、実力主義的な政権運営の一方、目先の利益追求がもたらした「山師」の跋扈と不正の横行、その何でもありな感じの時代風潮が面白い。何となく田中角栄なんかとイメージがダブってしまったり。2018/04/17
杞人
3
日本史でも最も毀誉褒貶激しい政治家の一人田沼意次、その「腐敗政治」と「先進的な経済政策」はコインの裏表であり、改革を可能とする強大な権力は旧来の身分秩序の紊乱、そして許認可権限の一極集中からの汚職贈収賄を招いた。そして、その経済政策はアイデア倒れの部分があり、その破綻が引き金となって譜代門閥層の反撃により田沼時代は終焉を迎えたのであった。2012/07/23
陽香
2
201206102017/02/24