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貧困とはなにか―概念・言説・ポリティクス

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750333748
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0036

内容説明

貧困問題の思想的課題を一冊で理解する新しい「貧困の教科書」。

目次

第1章 貧困の定義
第2章 貧困の測定
第3章 不平等、社会的区分、さまざまな貧困の経験
第4章 貧困と社会的排除
第5章 貧困についての言説―“他者化”から尊重・敬意へ
第6章 貧困と行為における主体性―“やりくり”から“組織化”へ
第7章 貧困、人権、シチズンシップ
終章―概念からポリティクスへ

著者等紹介

リスター,ルース[リスター,ルース][Lister,Ruth]
イギリスの貧困研究・社会政策研究を代表する研究者の一人。研究関心は、貧困と社会的排除、社会保障と福祉改革、シチズンシップ、ジェンダー、子ども・若者。伝統ある反貧困民間運動団体「チャイルド・ポバティ・アクション・グループ(CPAG)」に15年間勤務。CPAG代表、ブラッドフォード大学を経て、1994年よりラフバラ大学にて教鞭をとる。2010年10月、ラフバラ大学名誉教授。2011年より貴族院議員(労働党)に就任。CPAG名誉代表、英国学士院会員、イギリス社会政策学会終身会員等のほか、フェビアン協会や各種学術団体において広く活動している

松本伊智朗[マツモトイチロウ]
北海道大学大学院教育学研究院教授(教育福祉研究グループ)。専門領域は貧困研究、教育福祉論、児童福祉論。社会的活動として、札幌市内で自立援助ホームを運営するNPO法人CAN代表理事、研究誌『貧困研究』(明石書店)編集委員、季刊『児童養護』(全国児童養護施設協議会)編集委員、日本子ども虐待防止学会評議員などを務める

立木勝[タチキマサル]
京都府生まれ。大阪府公立中学/高校教諭、英会話学校職員を経て翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

30
難しかったですが、貧困概念について丁寧に研究された本だと思いました。この本では、貧困の物質的側面やそれを招く行動的側面も重視しつつ、「他者化」という概念を用いて、偏見や差別、スティグマを正面から取り上げ概念を豊富化しています。また、社会的排除についての概念整理がされていることには興味深く読みました。著者は貧困に変わる概念として社会的排除があるわけではないと強調しつつ、伝統的な貧困の定式よりも動的な分析が促進できると指摘します。日本においては、貧困=社会的排除論が見受けられる中で重要な指摘だと思いました。2015/04/05

Chicken Book

12
貧困の概念とは定義のことではなく、定義というのは測定方法のことではない。まさに「貧困とは何か」を、ひたすら問い直していく。イギリスにおける貧困研究の蓄積の集大成として、ひとつの区切りともなるのではないかとおもうほど、多くの研究を批判・検討し、貧困をどう捉えるかという視点を与えてくれる。○相対的貧困と絶対的貧困はまるで別の考え方でなく、またどちらが優れているという訳でもない。ただ互いに相互補完的な考え方である。○貧困は常に「他者化」され、哀れみか憎悪の対象にしかされてこなかった。2021/10/14

ジュリアンヌ

8
難しくて、翻訳ならではの読みづらさで、読み終わるのに、時間がかかってしまいました。貧困についての日本の本を読むことはあっても、貧困の概念について詳しく整理されたものにふれる機会はなかったので、春からゼミが始まる前のこの時期に読み終えることができてよかったです。ただ、まだ半分も理解出来ていないと思うので、再挑戦したいと思います。第3章「不平等、社会的区分、さまざまな貧困の経験」と第6章「貧困とエイジェンシー」が興味深かったです。2016/03/21

壱萬弐仟縁

5
国際開発の文脈では途上国貧困問題。国内外では格差問題。A.センとP.タウンゼントとのズレが解説されているのは興味深い(52ページ~)。貧困指標の対極には、B.S.フライの幸福指標が存在し、評者としては、金持ちだが不幸だ、とか、貧乏だが幸福だ、というような、逆転現象がありえるのでは? ということ。一つの答えは、二宮尊徳研究から荒木一彰氏が提起している(池上惇2012所収)。貧困者も富裕者もそれぞれの役割を怠るがために格差が深刻化しているのである。単に競争に敗北しただけではない。市民権はシティズンシップ。2012/11/02

まつゆう

4
教科書的説明で物足りなさは残るが、まあ元々がそういう意図の本らしいし、何より各論点や各立場の政治的含意、概念とその批判点などもきちっと書いていてちゃんと読めば非常に頭の中が整頓される。こういう堅実な仕事をやってくれてる本を寡聞にして日本の本で読んだことがない(湯浅誠など比較的発言している人もいるにはいるが)ので貴重な本なのではなかろうか。最近もテレビで貧困の学生が取り上げられた際に棚にある筆箱や何やが高級品?であったことからネットが炎上した(らしい)が、そうした一面的な議論が横行する今だからこそ読みたい。2016/10/15

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