出版社内容情報
人類は「食」を「文化」にまで高めて生きのびてきた。著者のライフワークの集大成。縄文人の食生活、神話に出てくるパンと酒、人類が昆虫を食べてきた理由等、お馴染みコイズミ節で「食文化」の深淵をドラマチックに解き明かす。
内容説明
食欲が生んだ奇跡!滋味と栄養、安全と安心。ヒトの心と体、そして命を支えつづけてきたあまねく食物への「感動」を新たにする一冊。
目次
第1章 ヒトは何を食べてきたのか
第2章 火と灰
第3章 道具と知恵
第4章 原始国家と神の誕生
第5章 酒のはじまり
第6章 塩と人間
第7章 保存する技術1(干す・燻す・葉に包む・灰)
第8章 保存する技術2(発酵)
第9章 毒と解毒食品
著者等紹介
小泉武夫[コイズミタケオ]
1943年福島県の酒造家に生まれる。東京農業大学名誉教授。農学博士。専門は食文化論、発酵学、醸造学。現在、鹿児島大学、琉球大学、広島大学で客員教授として教鞭を執る。学術調査を兼ねて世界中の辺境を旅しながら、あらゆる奇食、珍味を口にする「食の冒険家」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
37
小泉先生の本をたくさん読んできました。この本の冒頭に「これが最後お講義です」という描写があり、感慨深いです。世界中の発酵料理、多様な食材をこの人の本から学びました。この本はその集大成といったところでしょうか。先生、お疲れさまでした。これからも色々と食を勉強し続けます。 2023/06/02
さっちも
13
著者が大学の講義「食文化論」に手を加えて出版したもの。人間の食べることへの執念がミラクルを生み出すことをアカデミックに、また面白おかしく、時には感動的に講義されている。例えば納豆、著者は納豆菌が抗生物質をつくって他の菌を寄せつけなくすることをわかっているので賞味期限が2、3ヶ月過ぎても平気で食べるという。O−157が流行った際は、ベロ毒素をだして人間を殺してしまう大腸菌と納豆菌をシャーレで闘わせたところ百戦百勝だったという。「くさや」にも天然の抗生物質があり、抗菌性が高い。産地の新島では昭和50年頃まで医2023/04/06
フジマコ
8
日本のお出汁といったら…はい、なんでしょう?鰹節に椎茸に昆布ですね。これらの出汁には、全く脂が含まれていないんだそうです。ウェイパーを湯に溶かしたら、ギトギトになるのにね。美味しいけど。その理由を小泉先生は、日本の四季と日本人の質素な食事が原因だと分析されています。四季かもたらす侘び寂びと、質素な食事の材料から如何に美味しく食べるかという探究心。日本人てすばらしいですね!2013/07/09
たらこりっぷ
8
東京農大での最終講義を採録した一冊。別の本で読んだ話があちこちに出てきますが、食いしん坊の私としては何度読んでも面白く感じます。小泉先生の論はとにかく自分で実食することから始まっているのが特色。世界中で飲んだり食べたりしている話はどれだけ読んでも満腹になることはありません。ここまでエネルギッシュに食文化を論ずる人はそういません。志を継ぐ若手が現れないのは少々気がかりです。2013/05/08
Yoshie S
3
さすが小泉先生、圧巻です。 発酵の第一人者ですが、やはり研究熱心。 なぜ食文化がこのように発達きたのか人間らしい部分もうまく併せながら解説してある。 化学式などもきちんと解説されていて(理解はできないけれど)面白いかった。2016/09/24