内容説明
フランス革命の衝撃がひろがる英国で、保守陣営と果敢に論争する女性論客として一躍有名になったメアリ・ウルストンクラフト。彼女がわずか3カ月で書きあげた義憤と希望の書『女性の権利の擁護』(1792年)は、フェミニズムの古典の筆頭にあげられる。フェミニズムという言葉すらなかった時代、18世紀末イギリスでウルストンクラフトは、どのような「女性」の、どのような「権利」を、どのように「擁護」しようとしたのか。気鋭の思想史研究者が丹念に読み解く。
目次
第1章 『女性の権利の擁護』の誕生とその評価(『女性の権利の擁護』の誕生;『女性の権利の擁護』をめぐる評価の変遷;『女性の権利の擁護』を読む視点)
第2章 「女性」とは誰か(女性はどのような存在か;女性は男性より劣るのか―身体的な性差をめぐって;女性は人を喜ばせる存在なのか―文明社会のマナーをめぐって;女性は男性に従うべきか―キリスト教信仰をめぐって;女性は男性のために存在するのか―対象から主体へ)
第3章 「女性の権利」とは何か(「権利」とは何か―革命論争のなかで;男女共通の権利とは何か―普遍主義の論理;女性独自の権利とは何か―差異主義の論理;能動市民としての女性の権利)
第4章 女性の権利は「擁護」されたか(女性としていかに語るか―自己表象の政治学;誰にむけてどう語るのか―呼びかけの修辞学;メッセージはどう届いたのか―読者が受けとったもの)
著者等紹介
梅垣千尋[ウメガキチヒロ]
1973年生まれ。青山学院女子短期大学准教授。一橋大学社会学部卒業、ヨーク大学18世紀研究所修士課程修了、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。思想史、女性史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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