青弓社ライブラリー<br> SFで自己を読む―『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』『イノセンス』

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青弓社ライブラリー
SFで自己を読む―『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』『イノセンス』

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  • サイズ B6判/ページ数 223p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787233271
  • NDC分類 778.77
  • Cコード C0336

内容説明

『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』『イノセンス』といった作品から「ゴースト」「生きた時間性」「死」「人形」などのテーマを抽出し、SFをめぐる謎―あるエピソードとセリフの意味、入り組んだプロットの陰に潜む真実、作品の趣旨―に思考の網を張り巡らせる。裏設定の読解やテクノロジーの真偽問題に優先する物語的な謎の解明に注力し、そのおもしろさに身を任せながら、作品に描かれる「“わたし”の固有性のゆらぎ」「未来を奪われた存在」「生と死のありよう」などを丁寧に読み解く。それらの批評をとおして、「別の自己像へのしなやかな流転」というSFがもつ魅力の核を析出する。

目次

第1章 「ゴースト」の虚空と「余剰」の精神―『攻殻機動隊』(「電脳化」と自己への懐疑;「ゴースト」の裂け目―人間の精神に独自なもの;「ささやくゴースト」―内実なき「空虚」? ほか)
第2章 自我の「嘘」とキルドレの闇―『スカイ・クロラ』(空を舞う歓びとアイデンティティの不安;「自分の中の無が見える」―「子ども」であるということ;「暗い場所。赤い光」―「現在」を永遠に反復する存在 ほか)
第3章 人形の謎と人間の真実―『イノセンス』(「死体としての人形」―人間性への懐疑;「死」を予感させる鏡像―真実の魅力;分身の不気味さ―ドッペルゲンガーが明かすもの ほか)
終章 揺らめく自己、想像の漂流

著者等紹介

浅見克彦[アサミカツヒコ]
1957年生まれ。和光大学表現学部教員。専攻は社会理論、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆうき

3
押井守監督が描く自己の描き方を分析した一冊。「私」という自己は他者に観測されることにより構築される。そして、「私」が「私」であるためには「私」の記憶が不可欠だ。押井守監督は電脳化されたSFの世界ではデジタル化によって「私」である危うさ、確信のなさを描いている。2014/04/09

Ryosuke Tanaka

1
これの前に読んだ巽さんの本の、ハイスピードで華麗な決まり手の連続、というスタイルに比べて、こちらは「読み手への作用(違和感、不気味さ、面白さ…)」を出発点とし、複数の仮説的な"読み"を、反証的に絞り込んでいく進め方で、オーディエンスをより広く取っている(サイエンティストフレンドリーな)感じがした。サイエンス側から設定を云々する「空想科学読本」的読みが、文学体験を痩せ細らせるみたいなことをこんこんと説いており、そうなのだが、私怨でもあるのだろうか。2016/04/18

eeezzzmmm

1
扱われる作品に興味があったので買ったけど、そんなに面白くなかった。『スカイ・クロラ』についてはわからないけど、『攻殻機動隊』と『イノセンス』から「自己」「自我」の問題に触れたものはいくらでもあるし、その中で特別優れた指摘がなされているわけでもなかったように思える。2011/06/03

onisjim

0
浅見先生なあ。さらっとマルティン・ブーバーの名前が出てきたり、そんな感じが懐かしくもあり心地よい。押井守が映像化した3作品の謎解きは主題ではなくて、読者の前に立ち現れる<鏡>としてのSFについて考える本。2011/07/06

クラウド

0
筆者と私でSF作品を愉しむ態度、姿勢のマッチしていたと感じる。中身に深入りしすぎる考察とも、表面的すぎる検証とも違う。抽象的な、衒学風のむつかしさを味わえる見方だ。人間像、自己像を揺るがすようなテーマ性のものを見ているときの思考の喚起を愉しむことは私も常々感じている。簡単に答えを出しすぎない、答えが出ないことをも楽しむしなやかさをもつこと、養うことについてだ。それらについて、改めて考えさせられる。2023/07/26

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