内容説明
芸術家でも企業人でもない“広告制作者”。その曖昧な職業理念の歴史を濱田増治、今泉武治、亀倉雄策、横尾忠則らを例にして精緻に分析。広告やデザインの歴史であると同時に、いかにして広告制作が専門的な知識や職業になったのかを明らかにしたメディアの社会学。
目次
第1章 “広告制作者”と歴史社会学
第2章 “広告制作者”の不在
第3章 “広告制作者”の起源
第4章 “広告制作者”の自律
第5章 “広告制作者”の成立
第6章 “広告制作者”の展開
第7章 “広告制作者”の並存
第8章 “広告制作者”の歴史社会学
著者等紹介
加島卓[カシマタカシ]
1975年、東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。東京大学助教を経て、東海大学文学部広報メディア学科専任講師。博士(学際情報学)。専門はメディア論、社会学、広告史、デザイン史。主な論文として、「デザインを語ることは不可能なのか」(『文字のデザイン・書体のフシギ』左右社、2008年、第7回竹尾賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぷほは
3
久しぶりに再読。近代を語る視線と文体に宿命づけられている社会学の歴史的な目線を、ゼマンティク分析や言説分析やエスノメソドロジー(概念分析)の成果によって捉え直すことで、対象を語り直すことやどうにでも語れてしまえる振幅の諸相を、制作物と制作者の関係性の変遷から、言葉が生み出されていくドライブに着目して記述していく。この人称性の消え難さは、中世や古代を研究している歴史学者からすれば???となってしまうかもしれないが、逆にいえばそこに拘ることこそ本書が歴史社会学であることの賭け金になっている、ということでもある2022/08/05
NEWJPB
1
単にモノだけを追うのでもコトバだけを追うのでもなく、コトバとモノが一つの有意味な観念材へと練り上げられるプロセスを記述した若手研究者の力作。社会学と歴史学の狭間に関心のあるマスターは、第一章を必読だろうし、分厚い事象内記述の実践部分は、興味をそそる。博士論文がベースにあり、高価であることもあって、一般的な読者層をも含みこんだ記述になっているわけではないが、ここからいくつもの啓蒙的著作が展開される可能性を秘めている。期待している。2015/01/14