内容説明
著者は現代の遺伝子観を、遺伝子Dと遺伝子Pのつぎはぎ合成として鋭く衝き、特に癌の問題を「生命の技術的哲学」の立場から見直している。遺伝子DNAの情報的資源に加えて、細胞の動態や遺伝子産物の後成的な修飾を、同等の資格をもつ資源と見る、単なる外野からの遺伝子還元論批判を超えた、これからの研究の主流にとっても示唆に富む提言。
目次
第1章 遺伝子の起源(遺伝子―混成遺産を収めた一風変わったポートフォリオ;今日の存在論 ほか)
第2章 修辞法の生命と生命の修辞法(遺伝子Pか遺伝子Dか;遺伝子Pと遺伝子Dのつぎはぎ修辞法 ほか)
第3章 遺伝子には何ができないか(シュレディンガーを本気で考える;不安定な境界、動く膜、区画の分業 ほか)
第4章 癌と遺伝―過程としての正常と病理(「黒胆汁」から「発生の可能性の狂い」へ;系統発生学的転回以後の腫瘍学 ほか)
第5章 遺伝子の後に(モジュール性、複雑さ、そして進化;DNAにできること ほか)
著者等紹介
モス,レニー[モス,レニー][Moss,Lenny]
1952年生まれ。現在、エクセター大学教授、同大学ゲノムESRCセンターシニアフェロー。生化学(カリフォルニア大学バークレー校)と哲学(ノースウェスタン大学)で博士号を取得
長野敬[ナガノケイ]
生物学者、河合文化教育研究所主任研究員
赤松眞紀[アカマツマキ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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