• ポイントキャンペーン

新書y
終身刑の死角

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862483539
  • NDC分類 326.42
  • Cコード C0232

内容説明

ギリギリの決断を迫られかねない裁判員の死刑判定を回避すべく、死刑と無期刑の中間刑として導入が検討されている「仮釈放なしの終身刑」。だが、出所という一縷の希望もない終身刑囚を、現場の刑務官はいかに統制するのか。導入後に待っているのは、たとえ刑務所内で暴れてもこれ以上、刑が重くなることのない終身刑囚への優遇措置の蔓延と、寝たきりの彼らの介護、そして“死の看取り”である。“死ぬまで監禁刑”が孕む弊害を、法社会学の俊英が問う。

目次

第1章 凶悪犯罪の実態―犯罪は増加も凶悪化もしていない
第2章 日本の刑務所―基本姿勢は「なるべく入れない、できるだけ早く出す」
第3章 死刑制度の実像―日本の死刑制度はいかに運用されてきたのか
第4章 無期刑囚の実態―知られざる仮釈放制度の運用状況
第5章 仮釈放なしの終身刑が抱える矛盾―“死ぬまで監禁刑”は現場の混乱を招く
第6章 被害者の視点―目指すべきは犯罪者への「厳罰」ではなく遺族の「再出発」
第7章 日本社会の犯罪者に対する古い掟―犯罪者は世間から永久追放

著者等紹介

河合幹雄[カワイミキオ]
1960年生まれ。京都大学大学院法学研究科法社会学専攻博士課程修了。現在、桐蔭横浜大学教授。専門は法社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GAKU

64
私はどちらかというと死刑存置派です。どうしても死刑廃止というならば、絶対に「仮釈放のない終身刑」を導入して欲しいと思っていました。しかしこの著書を読んで目からうろこでした。終身刑は死刑に代わる“極刑”になるのか?“現状の凶悪犯罪の実態”、“日本の刑務所”、“死刑制度の実像”、“無期刑囚の実態”と順を追って書かれ、そして「仮釈放なしの終身刑が抱える矛盾」を分かり易く説明してくれています。安易に終身刑を推進するべきではない。では極刑は死刑しかないのか?⇒2018/02/23

とくけんちょ

51
ちょいと古い本で、データからの分析は現状とは合っていないところはあるものの、刑務所、刑務官についての基本的な知識や刑罰についての考え方は参考になった。よく欧米を手本にするが、歴史的な国民性の違い、文化の違いはどうにも相入れないと思う。骨組みはよくても、細部はどうしてもね。2021/05/20

大泉宗一郎

20
裁判員制度導入に伴い、裁判員にかかる精神的負担を軽減するため、死刑制度に次ぐ終身刑制度の導入の検討が超党派の会議でなされた。それに「待った」の声をかけるのが本書。刑務所で犯罪者を“飼い殺し”にすることの意味を、刑務所での実情、日本の慣習に根差した法の観点から導入の”死角”を照らし出そうとしているが、具体的な数値を省いたり、少しほど推論を根拠に文を展開させたり、多少、詰めの甘さは否めないが、死刑と無期懲役との隔たりに疑問を感じる人は、読んだ方がいいと思う。終身刑の導入は、現状を無視した政策だとわかるから。2016/09/27

YOS1968

7
「日本の殺人」に続いて読了。相変わらずのぶっちゃけながら本質を突く口調は小気味良い。裁判員制度導入に伴い、超党派グループの国会議員から「仮釈放なしの終身刑」を無期懲役と死刑の間の中間刑を導入しようとする動きに対して、批判的な提言をする。本当に最近治安は悪くなっているのか、無期懲役囚は本当にすぐ仮出所してしまうのか。日本の刑罰の運用に一定の評価を与え、治安という問題、刑務所制度を法社会学的に検証している。2011/11/05

うえ

5
再読。「歴史的に見て日本の刑事政策は「なるべく刑務所には入れない、入れてもすぐに出す」という原則で運用されている」「新規入所者3万人のうち、はじめて刑務所に入る人は少ない」「狭い共同体に暮らしていた時代には、自分を殺しに来るものなど存在するはずがないという感覚が普通…これは、犯罪被害者を自分たちと異なる、何か被害に遭うべき理由をもったもの、たとえば「どうせ恨まれとったのだろう」とみなす偏見を生み、それが犯罪被害者に徹底的に冷たい刑事司法制度を20世紀後半まで維持してしまう原因となったと考えられる」2015/09/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/513512
  • ご注意事項