内容説明
なんてことない日常にひそむ、異界へのわき道…。くたびれた男たちが紛れ込んだ21の奇妙な世界。各編に「T・Mいわく」という前文つき。
著者等紹介
眉村卓[マユムラタク]
1934年、大阪に生まれる。大阪大学経済学部卒。耐火煉瓦会社勤務の傍ら、SF同人誌「宇宙塵」に参加。61年、「SFマガジン」第1回SFコンテストに投じた「下級アイデアマン」が佳作入選し、デビュー。63年、いわゆる日本SF作家第一世代の中で最も早く、処女長編「燃える傾斜」刊行。その後コピーライターを経て、65年より専業作家になる。79年、長編『消滅の光輪』で第7回泉鏡花文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃんみー
49
ショートショートストーリー。歳を取ると過去を振り返ることが多くなるというが、まさしくそんなお話が多かったでしょうか。なんだかSFっぽくて訳がわからないものもありましたが。あの時まで立ち返って別の道を歩んでいたら今はどうなっているのだろうか?と考えることもしばしばありましたが、今となってはもう歩んできた道を受け入れるしかありません。この先の人生を謳歌しよう。と思いましたね。2014/10/26
そうたそ
9
★★☆☆☆ 最近の作品を集めた作品集で、「日がわり一話」に収められていたような話のテイストに近い。ぼんやりしたままはじまって、ぼんやりしたまま終わっていく。そのような話。最後は何か作者自身が勝手に納得して終わっているような感じがする。どの話も、派手さはないがちょっと不思議な話。いわゆる「小説」を楽しもうと思うと、この作品はかなり物足りなさを感じてしまうと思う。眉村さんの昔の作品が好きだというなら、この作品は気には召さないことだろう。老年期にさしかかった眉村さんの味わい深い文章を楽しむにはうってつけだ。2013/09/27
こうちゃ
7
さる企業会員誌に連載した21編と、それぞれに[T・Mいわく]という前文を書き加えたショートショート集。装丁のような、あやしげで不思議な世界観がただよう。眉村氏自筆の可愛くて味のある本文カットが一番好きかも。2013/12/09
hirayama46
4
眉村卓の後期の短編集。奥さんを亡くして老いを感じさせる作風になってからも旺盛に作品を執筆し続けたので、その時期の作品は雰囲気が近い作品も多いのですが、本書もいかにも後期、という感覚ですね。特筆すべき点は全編にまえがきといえる「T.Mいわく」と、かわいらしい挿絵があるところでしょうか。2022/02/28
三森紘子
4
スルスル読める老境ショートショート。ほんわかした挿し絵が眉村氏自身の手によってたとは!めっちゃかわいいです。(表紙は北見隆さんです←こちらも大好き)2015/07/02