出版社内容情報
原始キリスト教が初期カトリシズムへ移行する過程で，最大の異端として排除されたグノーシス主義．本書はナグ・ハマディ文書のキリスト論，イエス理解を手掛りに，グノーシス主義の起源と本質を解明したユニークな論考．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
14
著者は2世紀頃のコプト語史料ナグハマディ文書解読に携わった世界的権威。以前著者の「トマスによる福音書」を理解不十分乍ら読んだが、本書はより広範で深くとてもの事乍ら歯が立たない。なんとか目を通して、いくらか記憶に残れば良いと言うのが情けなくも読書成果である。著者らが概念整理をしたグノーシス主義とグノーシス（的）の別は了解できる。基督教がユダヤ教のヘレニズム的変成の一形態として現れ、ローマ的集権体制により異端とされたグノーシス主義。他方グノーシスは近代基督教の中でも或いは大乗仏教にもその傾向が確かに見られる。2022/12/29
