出版社内容情報
和歌が獲得してゆく主題の深まり,俳句の七五の型の中での成熟,この七五調の制約が近代詩歌のリズムにもたらした宿命.日本の古典詩歌の伝統を大きな枠組みの中で,斬新な角度から精彩に論じた新しい日本詩歌入門.
内容説明
日本詩歌の七五の宿命を明快に推断する。豊かで多様な日本古典詩歌の流れを明確な視座から精彩に論じる、浩瀚にしてユニークな名著。
目次
秋の夕暮(「寂しい」秋の夕べ;本意の成立;「三夕」とその周辺)
俳句の詩学(17字で言えること;誇張と矛盾;意義の方向づけ;「閑かさや」の句)
7と5の韻律論(七五調のの四拍子;音数律の性質;日本韻律論のあゆみ;日本詩歌の韻律)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
0
「基底部」と「干渉部」という見立ては非常に興味深いが、こればかりで説明されてしまうと少し物足りない思いがある。それよりは、「矛盾」と「誇張」という分析の方が面白かったように思う。韻律に関しては、先行研究のまとめがあるのは、その評価を中心に理解しがたいが、ありがたい。五七調と七五調の変化を詠唱法に求めるのではなく、五七調が混合拍子に求めるというのは、現代の感覚からしても非常にしっくりくるものである。ただ、そのような混合拍子が一体どのように発生したのかというのには十分説明が与えられていなかったように思われた。2013/10/19
噂野 アンドゥー
0
大手前大学名誉教授が書いた俳句の専門書。俳句が上手くなるわけではないが、俳句の深さがわかる専門書。2020/08/19