出版社内容情報
「自由・平等・友愛」のスローガンのもとに遂行されたブルジョワジーと民衆の革命，そして恐怖政治と独裁政の暗い影．社会史の手法によってフランス革命の現場を再現し，比較史の観点から10年におよぶ革命の意味を確定する．
目次
フランス革命の解釈をめぐって（アプローチの仕方；日本におけるフランス革命観；フランスの主流的解釈；「修正主義」）
原因（「ブルジョワ」；「革命的ブルジョワジー」？；革命の発生）
革命にプロセス（フランス革命の輸廊；革命の勢力配置；革命の深化；ジロンド派と山岳派の抗争；山学派独裁の形成；山岳派独裁の崩塊；安定化の失敗；軍部独裁への道）
民衆運動（革命の底辺；フランス革命の意義；比較史の観点）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すがし
2
きわめて学術的で読みにくい部分もあるが、フランス革命は産業構造の変化による社会・政治・文化など国家のあらゆる面でのドラスティックな適応であったことは理解できた。「改革が失敗した時に革命が起こる」というテーゼが実に印象的。そして歴史とは安易な比較論や図式論で読み解くことのできない精緻にして複雑な構造物であることが実によく理解できた。フランス革命というこの歴史的建造物の中に入ってさらなる体験を重ねたい。そこには現代社会の状況を読み解く鍵になることもきっと含まれていることだろう。2012/09/08
こねほ
2
講演を本におこしたもの。今から20年以上前の講演だそうだけど、扱う内容は広範で非常に興味深い。この時点では、著者がブルジョワ革命論をそれなりに支持しつつ疑問も持ち、かと言って修正主義には傾かないような立場を取っているように見られる。「ヨーロッパで民衆が運動を起こさなかったところはない。それなのになぜフランスだけが革命につながったのか？」という問いかけは、デモをして社会が変わる国と変わらない国の差はなんだろう、という最近の状勢にもいえる疑問だなあと感じた。2012/07/01
向う岸
1
暴動は秩序を乱すものではなく、むしろ秩序を取り戻すものであると考えられ、「大いなる希望」が「大いなる恐怖」を生んでいる。為政者がパニックを恐れて、正確な情報を民衆に提供しないと、民衆はむしろ「陰謀論」を働かせて、ありもしない恐怖に突き動かされてパニックを起こしてしまう。つまり、震災直後の対策を、日本政府は完全に間違えてしまったということだ。2011/12/27
