出版社内容情報
市民の介入を排除するテクノクラシーを正当化する閉じた技術観を超えるためには,技術概念そのものの再検討と再定義が必要である.社会と市民に開かれた「新しい合理性」概念を提唱する,新たな〈技術の哲学〉.
内容説明
技術に関するこれまでの哲学的言説はいずれも、市民の関与を排除するテクノクラシーの進展を止める力にはなりえないのではないか?こうした問題意識から著者は本書において、従来の本質主義的な技術概念を再検討し、概念の新たな定式化を目指す。1968年の学生叛乱、70年代の環境主義をめぐる論争、80年代のミニテルやAIDS治験をめぐるネットワーキングなどの豊富な事例の分析と、ハイデガー、フーコー、ハーバーマスや社会構成主義などとの理論的対決とを織り交ぜながら、市民による技術システムの占有戦略を説く。社会と市民に開かれた“新たな合理性”概念を提唱する、“技術の哲学”への意欲的な試み。
目次
技術、哲学、政治
第1部 技術の政治化(テクノクラシーと叛乱―一九六八年の五月革命;環境主義と技術の政治)
第2部 民主的な合理化(技術的合理性の限界;主体性の問題;技術の民主化)
第3部 技術と近代(技術の批判理論;技術と意味;非純粋理性)
著者等紹介
フィーンバーグ,アンドリュー[フィーンバーグ,アンドリュー][Feenberg,Andrew]
1943年ニューヨーク生まれ。1973年カリフォルニア大学(サンディエゴ)Ph.D。現在サイモン・フレーザー大学(カナダ・リサーチ・チェア)。哲学
直江清隆[ナオエキヨタカ]
1960年埼玉県生まれ。1991年東京大学大学院理学系研究科(科学史・科学基礎論)博士課程単位取得退学。現在山形大学(教育学部)助教授。哲学
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