出版社内容情報
去来抄・旅寝論は去来の,三冊子は土芳の俳論である.去来抄は先師評・同門評・修行教に分れ,旅寝論は許六の「篇突(へんとつ)」に対する反論.三冊子は赤冊子・白冊子・忘水の三部からなる.いずれも俳諧の起源,不易流行,わび・さび・風雅・軽み・作家修行・態度を論じた蕉門の代表的俳論であり,芭蕉を知る上に必読の文献.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
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解説によると、去来抄は、芭蕉俳諧を論ずるものにとっての必読書(204頁)。「駒ひきの 木曾やいづらん 三日の月 去来 今や超ゆらん望月の駒といへるをふりかえて、木曾やいづらん三日の月といへり。先師曰、この句ハさん用をよく合せたる句なりと、あざけり給へり」(28頁)。木曽駒の描写のようである。「鶯の 啼て見たれば なかれたり」(34頁)。先週ぐらいまで鳴いていた鶯。3月の鳥が今も? と思ったのはわたしだけだろうか。 2014/07/14
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1
松尾芭蕉が没し俳諧の美意識を説く流れに多数の派生が生まれ始めたとき。亜流・独自の解釈自体は悪いわけではないが、それが芭蕉の直系を名乗り始めると師の業績をおとしめるかもしれない。去来は恩師の教えをひもとくことで、自分の正統性と「初心」に立ち返った俳句の美学を説きおこそうとした。随所に自慢話やプライドが見え隠れして、予想した以上に起伏のあるエンターテインメントを感じさせる。当時の教養人にはこれがスリリングで楽しめたのだと想像すると楽しい。2021/08/21