岩波文庫
新編 山と渓谷

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  • サイズ 文庫判/ページ数 323p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003114216
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

著者は北アルプスの麓の村の産.毎朝,家の前の流れで顔を洗い身を起こすたびに白雪に輝く山々を仰いで育った.「山が自分の一部であり,自分が山の一部というふうな心持になる」――数多くの読者を山に誘った我が国山岳文学の古典『山と渓谷』など,英文学者・登山家田部重治(一八八四―一九七二)の山の随筆・紀行文集から精選.

内容説明

ワーズワース、ペイター研究で知られる著者は北アルプスの麓の村の産。毎朝、家の前の流れで顔を洗い、白雪を戴く立山、剣の山々を仰いで育った。戦前戦後を通じて数多くの読者を山に誘なった、英文学者・登山家の山の随筆・紀行文集。

目次

山に入る心
山は如何に私に影響しつつあるか
薬師岳と有峰
奥大日岳より白馬岳まで
烏帽子岳より東沢を経て立山温泉に至る
槍ケ岳より日本海まで
毛勝山より剣岳まで
小川谷より針ノ木峠まで
上高地渓谷
甲州丹波山の滞在と大黒茂谷
秩父の印象
数馬の一夜
白峰三山
美ヶ原と霧ヶ峰
山を憶う
新緑の印象
峠あるき
溯行の喜び
母の郷里
想い起こす人々
現代山岳文学について

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ann

73
約100年前の登山記。品のある素晴らしい表現力に、初めの数ページでぽーっとなる。近くの秋川渓谷や奥多摩の数馬や御前山、秩父、上高地、槍ヶ岳、、、行ったところにも、これから行きたいところにも、この随筆を読むと、「リアルとイメージ」、「大正時代と現在」が混濁して、自分の中に、静かな、でも強い憧れや嫉妬心さえも感じることが出来る稀有。出会ってしまったみたい。2018/01/19

翔亀

41
著者は大正期の英文学者で岩波文庫にワーズワース、ワイルド、クインシーなどの訳書がある。同時に登山史において頂上や岩壁への挑戦でなく深林や渓谷を愛でる日本的登山の流れを作った人として名高い。深田久弥や串田孫一などに馴染んでいる現代の眼から読むと、普通の淡々とした山行日記の如くだが、日本においてこの種のエッセイの創始者と思うと味わい深いものがある。幾多の山行日記のモデルなのだ。固有の山と固有の谷の一度限りの体験が、森や木や花や鳥や、山人や農民や宿の主人と共に美しく語られる。しかしそれは単なる美しさではない。↓2015/08/18

いの

19
知的な文章のなかに山の凄味と尽きない自然の静寂をみることができました。山と融和していくとはどういうことか体験をするごとにつかみとり感じとる自らの精神の声なのだろうと思いました。目に入るもの以外の感覚耳や鼻や皮膚から感じとる豊かな色彩に驚嘆し私も自分で感じてみたいと思わずにはいられません。精神の緊張がほどけた時には「死」があること。天国と地獄の顔を併せ持っているからこそ自然に山に惹かれ探求したくなるのでしょうか。素晴らしい読書時間でした。2019/12/05

かもすぱ

8
100年前の山岳紀行文集。日本の登山の黎明期のことであり、草鞋と着茣蓙と米と味噌で登山する。ほぼ未踏の山々の美しさ、新緑・紅葉・高原・渓谷・滝・雪・炭焼小屋の空気を、流麗な描写のおかげで経験したかのような錯覚を起こさせる。まさに山に誘う本だった。2018/05/12

Happy Like a Honeybee

7
水が湧き出る渓谷こそ、日本人の原風景か。 かつてはあった風景も文明の発達とともに失われ、利便だけを最優先される現代社会。 広大な自然を目の当たりにするだけで、洗練された気持ちになるのは年齢を重ねた証拠なのか? 奥秩父山塊や上高地など、美しい自然を後世に残すのも現代人の役目。 2020/01/23

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