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岩波文庫
桶物語・書物戦争 他一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003220917
  • NDC分類 937
  • Cコード C0197

出版社内容情報

人間は本当は卑しい現世的欲望に動かされている,もったいぶった体裁はそれを隠すための巧みな仮面にすぎないと喝破して,宗教界の争いを徹底的に諷刺した『桶物語』.近代と古代の学問の愚劣な優劣論争を痛烈に暴露した『書物戦争』.いずれにも,若き日のスウィフト(一六六七‐一七四五)の自信に満ちた諧謔と皮肉が躍動している.

内容説明

人間は本当は卑しい現世的欲望に動かされている、もったいぶった体裁はそれを隠すための巧みな仮面にすぎないと喝破して、宗教界の争いを徹底的に諷刺した『桶物語』。近代と古代の学問の愚烈な優劣論争を痛烈に暴露した『書物戦争』。いずれにも、若き日のスウィフト(1667‐1745)の自信に満ちた諧謔と皮肉が躍動している。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

289
構成自体もそうなのだが、本書は物語としての妙味には乏しい。あるいは初めからそういうものは捨てているというべきかもしれない。全体を貫流するのは強固なまでの厭世観である。それは、宗教界にも思想界にも、そして社会にも向けられ、語り手から発せられる毒として形象化される。寓意を寓意で包み込むといった独特の方法においてである。我々読者をも厭世的な気分にさせるところをみると、それは成功しているということになるだろう。また、時代は半世紀近くずれるが、マルキ・ド・サドを思わせる、もしくは彼の登場を予告するかのごとくだ。2016/09/09

遥かなる想い

169
1696年にスウィフトが書いた作品で、 宗教界の争いを風刺したものである。 正直 風刺の対象が よくわからないため、 読みづらい。三人の息子たちが 各々 キリスト教の宗派を表し、父の遺言は 新訳聖書らしいが…頻繁な脱線と 時代風景がわからないため、全くついて行けない、そんな読書だった。2018/04/12

ケイ

116
その文章にまず思ったのはピンチョンだ。溢れ出る語りのような文体は、書く人の鋭い知性と知識(ともすれば本人を蝕むほどの)を隠し切れない。父を亡くした三人の息子の話だが、その風刺の仕方に確かにガリバー旅行記の作者だと思わされる。父の死後、三人はどう考え行動するかが、兄弟それぞれについて語られる。それぞれにローマンカトリック、英国国教会、清教徒とを体現しているが、詳しくは解説を読むまではわからなかった。読み手を阻むのは、訳の古さ。語り口調は素晴らしいのだが、50年前であり高尚な言葉遣いでもあるために閉口した。2016/03/19

扉のこちら側

75
2016年966冊め。【230/G1000】表題作は軸となる話の合間合間にあえて脱線話を挿入している。話としてはカトリックとプロテスタントの対立を風刺しているものだが、ローマ旧教、英国国教会、清教徒を三兄弟に、父の遺言を新約聖書になぞらえている。この辺りはキリスト教知識がある程度ないと理解は難しい。『書物戦争』は近代と古代の学問の優劣をめぐる論争で、『桶物語』と対になっている。『人口神憑の説』の皮肉っぷりには関心させられる。2016/11/06

NAO

61
宗教界に対する風刺である「桶物語」が物語の本筋で、その合間に脱線した話を故意に挟み込むという構成。宗教への風刺は辛辣かつ滑稽で、特に、父から贈られた上衣を時代遅れだと勝手に作り変えておきながら、その後長男と反目し合うようになると弟二人がその飾り立てた上衣をどうしたか、についての描写などは、のちの『ガリヴァー旅行記』の滑稽さを彷彿とさせるものがある。ただ、『ガリヴァー旅行記』とちがって歴然とした歴史とかなり強固な縛りがある宗教に関しての風刺は『ガリヴァー旅行記』のように自由自在にとはいかなかったようだ。 2017/11/10

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