出版社内容情報
薄命なスコットランド女王メアリ・ステュアートとイングランド女王エリザベスとの葛藤を描いた悲劇.この暗闘を,シラーは史実を背景に人と人と相寄るところに生ずる心情の変化,愛憎の火花,こうした純粋に人間的現象に主脈をおいて描いた.われわれはメアリの中に女王という歴史的人物ではなく,ひとりの女性の人生を読みとる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
5
初シラーです。訳は思ったほど古くなく、普通に読める程度でした。タイトルはいわゆるメアリー・スチュアート。エリザベス1世→エリーザベット ロバート・ダドリー→ローベルト・ダッドリなど、フランス表記の訳がちょっと違和感。フランス人の書いた戯曲だからメアリー・スチュアート寄りだと思って読んだら、やはりそう。無実の罪で断頭台に上がったことになっています。エリザベスがなかなか嫌な女に。悲劇のヒロイン像としては、デュマの『メアリー・スチュアート』のほうが格段に面白かったです。2012/02/29
tieckP(ティークP)
3
シラーの伝記を読みながら作品をいくつか読んできているけれど、やはり『ヴァレンシュタイン』以降の方が圧倒的に良い。シラーは御しきれないかと思われそうな強すぎる主観的情熱を、歴史や哲学の勉強などでうまく調和させてからが本領の見せ所だったようだ。実際、同時代の普段はシラーを揶揄していたロマン主義者などの反応を見ても、この作品が傑作であることは疑いないようである。史実をストーリーに合わせて改編しているが、創作にそうした自由があった時代が羨ましくもある。訳はやや硬いけれど相良守峯だしきっと原文に忠実だろう。2013/11/25
meirokun
0
実在したスコットランドの女王の悲劇。流し読みしただけなんだけど、隠れた名作じゃないかなぁ。「女は弱いものではありません。女性の中にも強い精神が宿っています(p.69)」_貴族の女性が求婚されたり断頭台に上がらされたり何かと忙しい。2011/06/19