岩波文庫<br> ゲーテとトルストイ

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岩波文庫
ゲーテとトルストイ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003243497
  • NDC分類 944
  • Cコード C0198

出版社内容情報

ゲーテ,トルストイを「自然」に,シラー,ドストエフスキーを「精神」に対比し,「自然」と「精神」の関係を論じたエッセイ.その関係を,それぞれが求めあう相互的な関係としてみようというトーマス・マン(一八七五―一九五五)の論点は,彼の思想の重要なキーワードである「中間」「中間の立場」を理論的に述べたものとして重要視される.

内容説明

ゲーテ、トルストイを「自然」に、シラー、ドストエフスキーを「精神」に対比して、「自然」と「精神」の関係を論じたエッセイ。その関係を、それぞれが求めあう相互的な関係としてみようというトーマス・マンの論点は、彼の思想の重要なキーワードである「中間」「中間の立場」を理論的に述べたものとして重要視されている。

目次

シュテッツアー
優劣の問題
ルソー
教育と告白
拙劣ということ
霊場
病患
罹病
造形と批評
色事
自由と高貴性
貴族的優雅
懐疑癖
自然と国民
共感
告白と教育
教育
最後の断章

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

イプシロン

28
中道・中庸がいかなるものかを知らないで読んだなら、ほとんど理解できない作品だろう。表題は『ゲーテとトルストイ』であるが、ゲーテ絶賛本とみて間違いない。この両者は自然派であるが、ベクトルが違うという。トルストイは近づくことでピントをあわせ、ゲーテは引寄せられることで自然に焦点をあわせた、と。また精神派のドストエフスキーとシラーは離れることで自然を観察しようとした、と。偉大な思想哲学者が目白押しに登場する絢爛豪華な内容だが、いつも彼らの中間にあるのは自然だという神秘さとマンの紡ぎだす流暢な言葉が美しかった。2016/12/13

てれまこし

12
自然の寵児、神に愛される子であるゲーテ/トルストイ。病んだ人間的な聖者、シラー/ドストエフスキー。前者は「自然」の高貴さを、後者は「精神」の高貴さを代表する。1921年の講演であるから、単なる文学論じゃない。ドイツは敗戦により二つの大国から挟撃を受けている。一方にはラテン文明固有の「精神」の政治の代表国フランス。他方にアジア的「自然」に回帰したロシア。ドイツ的立憲君主制の権威は地に落ち、文化的独立が危うい。マンはいずれにも完全にはくみさない「イロニー」的態度にドイツの文化的生き残りの道を見出そうとする。2022/01/07

Happy Like a Honeybee

9
一つの技術か一つの職業に打ち込まない人間は不幸となろう(ゲーテ) 血統の高貴さと才能を持ちつつ、最大限に活用するトルストイ。ナポレオンから伯爵の地位を勧誘されるが、魅力を感じないゲーテ。二人ともルソーの影響が強いと。 冒頭のシーンは印象的。2015/11/08

抹茶ケーキ

1
「人間は不幸であるが故に私たちは人間を愛するのです。そして自らもまた不幸な者の一人なるがゆえに」(p. 51)2016/10/08

ひろゆき

1
貴族のゲーテとトルストイを、はじめから青白い顔で現れた貧しい庶民出の、そのため庶民に人気のシラーとドストエフスキーと対比して分析。ルソー経由の告白好きだったことや、スピノザの原因も目的もない自然観へのゲーテの信奉など興味深い。本当の天才は運さえ引き寄せるというゲーテの自負。才能が少しに、努力と運が9割だどうたらと言ったら笑われますな。精神と自然など論の核心はあまり僕には理解できず。社会、教育制度改革に携わった二人だが、マルクスはヘルダーリンを知れば完璧とのマンの政治的主張も。2013/02/10

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