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岩波文庫
ハインリヒ・ベル短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 312p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003245217
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

戦争という苛酷な運命にまきこまれた人々の人生はいかに踏みにじられていったのか.また,戦争は,人々の現在の生活や心の中にいかに深い傷跡を残すものか.第二次大戦での従軍体験をもとに戦争とその後遺症を描いた初期短篇を中心とする二十 篇を精選(うち本邦初訳十三 篇).諷刺とユーモアに満ちたH.ベル(一九一七‐八五)珠玉の短篇集.

内容説明

戦争という苛酷な運命にまきこまれた人々の人生と愛はいかに踏みにじられていったか。また、戦争は、人々の現在の生活や心の中にいかに深い傷跡を残すものか。第二次大戦の従軍体験をもとに、戦争とその後遺症を描いた初期短篇を中心とする20篇を精選(うち本邦初訳13篇)。諷刺とユーモアに満ちたハインリヒ・ベル(1917‐85)珠玉の短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

(C17H26O4)

79
大戦中のドイツ。人々の既に傷ついた肉体や精神が更に深く傷ついていく様が綴られる。心理描写とそこから浮かんでくる映像に圧倒され、繰り返しが多用された語りからは人々の苦しみや哀しみが迫ってきて胸を打たれた。在籍する高等学校に運び込まれた瀕死の青年の目に映るものを詳細に描いた「旅人ヨ、スパルタノ地ニ赴カバ、彼ノ地ノ人ニ……」、戦友の死をその妻に知らせることで背負った言い知れぬ苦しみを描いた「知らせ」、塹壕の恐怖の只中、先に死んだ少尉が語った金色の並木道の光景を絶望と共に描いた「並木道での再会」など。凄い。 2021/09/07

かもめ通信

22
ノーベル賞作家でもあり、戦後ドイツを代表し「民族の良心」といわれた作家ハインリヒ・ベルの短編集。解説を含めても300Pほどの薄い本の中に20篇もの短編が収録されているのだが、短さにもかかわらず1篇1篇の完成度が非常に高く、なによりもそれぞれの物語に登場人物たちの人生がぎゅっと凝縮されていることに驚かされる。戦中戦後の荒廃した街や人々のすさんだ心などが描かれていて、涙は出ないがなぜだかとても寂しく、とても人恋しい気持ちに。と同時に、戦争への怒りや平和を求める気持ちが、心の中で静かに、でも確かに強まっていく。2015/08/18

ヘラジカ

9
作品全体の重く澱んだ空気に辟易しつつも、なんとか最後の一篇まで読み終えた。読書中、全篇通して感じた圧迫感たるや凄まじいものがある。初っ端の『旅人ヨ、〜』に叩きのめされたときは、収録作品全てこのレベルだと精神的に持たない、と感じた程であった。幸いなことに後半はユーモラスで軽快な(前半と比較すれば、である)作品が多かったので、ギリギリ挫折せずに読み通すことが出来た。当時のドイツではベルの作品が悉くベストセラーになった、という話を聞くと如何に一般大衆が「廃墟文学」に同調していたかが分かって感慨深いものがある。2013/09/05

Nemorální lid

3
戦争と言う巨大な暴力が振るう辣腕は人々の小さな人生を潰した。カトリック教会は徐々に精神的空洞化し、過ちは忘れられていく。こうしたドイツの一時代に生きたベルの描写は"戦争の遺した傷"と言う重い世界を軽いユーモアの筆致で淡々と書き綴るものだ。彼の作品の一つ一つには文の裏から映る重苦しい影が伸し掛っており、『戦争で受けた傷がどこかでまだ血が流れている限り、戦争は決して終わったことにはならないだろう』(p.69)と言う句は我々も度外視出来ないはずである。過ちは繰り返されるが、またベルのような良心も生まれるのだ。2018/04/01

のうみそしる

3
知らせの話が一番読みごたえがある。後期の宗教色が強い作品群はちょっと説教くさいのかと思いきや、そうでもない。懺悔することがなにもない……。2017/02/28

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