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岩波文庫
神々は渇く

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  • サイズ 文庫判/ページ数 396p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003254332
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

フランス革命の動乱にまきこまれた純心な若者が断罪する側からされる側へと転じて死んでゆく悲劇を描いた歴史小説.人間は徳の名において正義を行使するには余りにも不完全だから人生の掟は寛容と仁慈でなければならない,として狂信を排した作者の人間観が克明な描写と迫力あるプロットによって見事に形象化されている.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

62
仏革命の恐怖政治の時代。ロベスピエールに心酔するガムランを中心に、時代を生きる人々が描かれます。昨日熱狂した革命に今日は倦み、今日祭り上げた指導者を明日は追い落す民衆とそれに翻弄される人々の生き様もさることながら、ガムランが己の理想だけを正義に人々を断罪し、その狭量な正義が彼を孤立させてゆく様子に痛ましさを感じずにはいられません。無邪気な青年が、人が自分と「違った考え方をすることがあり得る」ことに思いを致さず自分の有徳に酔い破滅する様に、生きている人間を見ずに理想を追うことの恐しさを見るように思いました。2021/05/28

fseigojp

27
これは仏蘭西革命後の恐怖政治を扱った歴史小説なのだが1912年という発表年は、ドレシュス事件が無罪を勝ち取った6年後であり、日本では大逆事件のあった年であり、欧州大戦の2年前 なんか関連を感じる2017/06/19

テツ

19
フランス革命。貧乏画家から革命裁判所の陪審員となったガムランをメインに据えつつその動乱の時代に混乱と狂気に飲み込まれていった数多くの一般市民を描いている。ある正義に則り他者を断罪し死を与えた人間が一夜明ければ今度は別の正義に裁かれ生命を奪われる。時代の転換、人々の意識が羽化し新しい世界で羽ばたくためにはある程度の生命が失われるのが必要ではあるのだろうけれど、その時代に生まれ落ちた人間はたまったもんじゃないよな。僕たちが生きる時代の足元にもそうした過去に礎になった山ほどの人が眠っていることを忘れずにいたい。2017/01/23

まさかず

15
「人間は徳の名において正義を行使するには余りにも不完全だから人生の掟は寛容と仁慈でなければならない」という言葉にひかれ手に取る。ガムランは方向があえば「信念の男」だった。「私だけが正しい」と断罪をする資格は誰にもない。正義ではなく自分の存在を尊いものとする勘違いに酔うだけ。酔った者達は皆ギロチンに散った。冤罪に抗えない弱者の声は消えた。聞こえないふりをされる声。ガムランに見えなかったものは何か?。「真理と誤謬を見分けることは人間の弱い精神の到底能くするところではない」この言葉を心に刻もう。人生の掟。2020/09/08

em

13
ノーチェックだったことを後悔しました。フランス恐怖政治時代、革命に傾倒する画家エヴァリスト。主人公を取り巻く人々の配置が絶妙。残虐きわまる神、血を欲する神をこそ、人は敬う。衆愚と一言にまとめられる者にもそれぞれの理屈が、熱があって、だから力を持つ。「人間は徳の名において正義を行使するにはあまりにも不完全な者である」2017/05/18

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