出版社内容情報
清純な貴族の娘ジャーヌは幸福への期待に胸をふくらませて修道院の寄宿舎を出る.女としての人生の出発は咲きそめたバラのように輝かしかった.が,やがて夫婦愛に自信を失い,一人息子にも背かれ,老いて孫娘を抱く哀切な気持のうちに彼女の人生は光を失ってゆく.女の一生――これを「ささやかな真実」とモーパッサンはいう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿呆った(旧・ことうら)
18
<何のはや、世の中というものは、そんなに人の思うほど善くもなし悪くもなしですわい。>◆夫の裏切り、死産、親の死、親の過去、子供の出奔。主人公の心が純粋で潔癖で、依存的なので、それによってさらに悪い結果をもたらしている面もあります。◆示唆に富んでいて、考えさせられるところも多かったです。2017/03/18
りんご
6
幼い時は修道院に入れられ、その後、子爵と結婚、子爵の浮気、息子の放蕩・・・彼女に訪れた人生は。。。2022/12/05
Shinobu
6
あるある。身につまされる人生だ。ジャーヌの思いが細やかに描かれていて、心を乱された。古典で読みにくいかと思っていたけど、サラサラと読み進められた。人に振り回されず、自分の人生を楽しんでいきたいと改めて思う。2021/04/23
モリータ
6
「到るところに思い出を播いて歩いた、人が種を土に播くように。それは死ぬまで根のたえない種類の思い出であった。自分の心を少しずつこの谷間のひだのすべてに投げ入れているようにジャーヌには思われた。」2012/09/05
つぐみ
5
12~17歳まで修道院の寄宿舎で世の中から仕切られて過ごしてきた貴族の少女が、夢と希望と憧れを持って嫁いだ相手との結婚生活は、少女の想像とは掛け離れたものとなっていく。度重なる裏切りと不幸。孤独を恐れるあまり、子供を溺愛し、でも報われない。誰かに依存する人生は寂しく空しい。しっかり自分の人生を生きたいなぁと改めて思わされた。2014/04/06