出版社内容情報
にんじん色の髪の少年は,そばかすだらけで,根性もひねくれているという.そんなあだ名を自分の子供につける母親,それが平気で通用している一家.美しい田園生活を舞台にくりひろげられる,無残な母と子の憎みあいの中に,しかし溢れるばかりの詩情が漂う.ルナアル(一八六四―一九一〇)の少年時代の追憶が反響する.
内容説明
にんじん色の髪の少年は、根性がひねくれているという。そんなあだ名を自分の子供につけた母親。それが平気で通用している一家。美しい田園生活を舞台にくりひろげられる、無残な母と子の憎みあいのうちに、しかし溢れるばかりの人間性と詩情がただよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
49
我が子を愛せない母親の葛藤を、末っ子の“にんじん”が間接的に投影した古典文学。兄と姉には決して降り掛からない、愛情の欠乏を“にんじん”が一手に引き受けなければならない運命にあることが切ない。行間にしがみつく母子のつながりを手繰り寄せた。【蔵書印】 2019/02/28
ひ ほ
30
「古書カフェすみれ屋…」に登場した本だと思う。今となってはどう絡んでいたのか忘れてしまったんだけど、それにしてもこの本は読んでいて楽しくなかった。やっと読み終えたって感じ。2021/03/07
コージー
27
★★☆☆☆母親からの虐待に堪え忍ぶ、赤髪の少年にんじんの話。可哀想な少年だと同情してしまいそうだが、虐待に関するディテールはあえてぼかされ、ユニークな話に仕立てられている。まぁ正直、そんなにおもしろくはなかった。これはあくまでも児童文学なのかもしれない。あと、岩波文庫だからか、字が小さいし文章が読みづらかった。新潮文庫のほうがよかったのかもしれない。2022/02/25
masawo
25
ヴァロットンの挿し絵目当てで購入したが、初っ端からカルチャーショックを受けた。末っ子に対する風当たりの強さはどこの国でも共通らしい。「あだ名で呼ばれる屁理屈屋キャラ」としてはちびまる子を彷彿とさせる。無邪気な残虐性と家族の不思議さに満ちた稀有な一冊。2020/09/15
わむう
24
ひたすら精神的虐待を繰り返す母親。半自伝的小説と知って、とても辛い。2020/03/01