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岩波文庫
死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 210p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003257418
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

フランス文学の魔術師テオフィル・ゴーチエ(一八一一―七二)の傑作短篇五篇を選び収める.ヨーロッパでもっとも傑れた吸血鬼小説の一つと賞される「死霊の恋」,青年のよせる烈しい思慕に古代ポンペイの麗人が甦える「ポンペイ夜話」など,いずれも愛と美と夢に彩られたあでやかな幻想の世界へと読者をいざなう.

内容説明

フランス文学の魔術師テオフィル・ゴーチエ(1811‐72)の傑作短篇5篇を選び収める。ヨーロッパでもっとも傑れた吸血鬼小説の一つと賞される「死霊の恋」、青年のよせる烈しい思慕に古代ポンペイの麗人が甦える「ポンペイ夜話」など、いずれも愛と美と夢に彩られたあでやかな幻想の世界へと読者をいざなう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

中玉ケビン砂糖

59
「芸術のための芸術」を掲げたフランス幻想譚の旗手ゴーチェだが、今読んでみると不思議にその娯楽性も高いということに気づく。泉鏡花のような時間操作の模糊とした「茫々とした幻想美」ではなく、ボードレールやマラルメも賞賛した格調高い文体の中には同時代に確認できる絵画や建築、インテリアや細工物に至るまで緻密な描写が見られ、そこには確固としたリアリズムがある。それらが調和してさしずめ「夢のような展開」「ちょうどよさ」とでも言える感覚。『ある日どこかで』や極上の夢である『ミッドナイト・イン・パリ』に似た2023/05/04

skellig@topsy-turvy

25
胸をときめきと眩暈で焦がしてくれる怪奇風味の短篇集。ロマンチックでゴシックで、19世紀の匂いがするのが堪りません。女吸血鬼クラリモンドは分類的には化け物だけど乙女だし、「コーヒー沸かし」の幽霊も可憐でフラジャイル。「オニュフリュス」は主人公の翻弄されぶりが奇想チックで、"悪夢版不思議の国のアリス"みたいでした。通底しているのはこの世ならぬものとの邂逅と、それが確かに登場人物に与える波紋の煌めき。怖く出来る要素が一杯でありながら、生への愛と美への憧憬に満ちた本当に可憐な一冊です。2016/03/28

棕櫚木庵

23
1/3)「百年文庫」の一冊にベッケル「枯葉」,ノヴァーリス「アトランティス物語」と共に「ポンペイ物語」が収められていると聞いて読みたくなった.話を聞いた時,「死霊の恋」と混同していた.▼その「死霊の恋」を読むのは,もう5度目くらい(最初読んだのは,「クラリモンド」とかいうという題で旺文社文庫に収められていたものだと思う).何度読んでも,“ドイツ的”重厚さ耽溺してしまう(カトリック僧が登場するので,舞台はもちろんフランスだろうし,夜の世界ではヴェネツィアに住んでいるのだけど).2021/01/23

藤月はな(灯れ松明の火)

20
「死霊の恋」は恋の素晴らしさではなく、自分が見えなくなるという恐ろしさを描いていると思います。最後の死霊の心の吐露は呪いではなく、本音であったと血を吸う場面を思い出しながら願いました。「ポンペイ夜話」は時間を越えた愛の破綻と彼が彼女以外、誰も本気で愛さなかったというのが一層、切ないです。「二人一役」は悪魔を演じることで悪魔に魅入られそうになり、素晴らしい演技の才能を見せる役者の選択はおそらく、才能を欲する者からすると賛否両論が挙がりそうです。2012/07/20

マーブル

17
『死霊の恋』という吸血鬼譚を読み直したくて再読。 収められた短編の中には悪魔的存在に翻弄されるものもあるのだが、基本的には幻想小説ではありながら、恐ろしさやグロテスクさなどとは縁遠い。2000年の時を越えて熔岩にその痕跡を残した娘と恋をしたり、亡き娘の霊とほんのわずかな夜の時間、一生忘れられぬような恋をしたり。ジャック・フィニイを思い出す。2020/08/17

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