岩波文庫
アフリカ農場物語〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003280010
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

遙かな南アフリカの平原。三人の白人の子どもの暮らす農場の穏やかな日々は、ある日迷いこんだ謎の男に破られて…。植民地の営みを細やかに写し、グラッドストーンやショウに感銘を与えたアフリカ文学の先駆者シュライナー(一八五五‐一九二〇)。その代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

67
緑豊かな南アフリカの平原を舞台とし、農場で暮らすリンダル、エム、ウォルドーの成長が主軸となる。子供たちの平穏な日常が、迷い込んできた謎の男ブナパルトによって破られることが物語の大きな転換点。イギリス人、ボーア人、ドイツ人、アイルランド人など登場人種も様々で、ブナパルトによって齎される暴力の連鎖に着目しても、農場のやりとりは植民地の縮図のような様相を呈している。虐げられるウォルドーの姿は痛ましい、無気力あるいは諦念のような態度を取ることでこの連鎖を断ち切る様は、著者の見た被虐者たちの現実だったのではないか。2018/11/11

ラウリスタ~

11
というか面白い。読み始めると止まらなくて、一晩で読んでしまった。200ページ超だけど、2時間もあれば読める。そこそこ古い1883年の小説だけど、古臭さはない。アフリカ版風とともにって印象か。南アフリカの、白人女性による、作品というちょっと目立つ作品。アフリカ文学とあえていえば言えるのだろうけれども、むしろ英米文学になるんだろうな。十分に読みやすく、かなり楽しめる作品。もっと読まれてもいい。2011/12/28

壱萬弐仟縁

6
アフリカ文学というと、ガンディーやコンラッド『闇の奥』を想起する。1883年初出。人生は舞台方式と生活方式で描写される(8ページ)。J.S.ミルの『経済学原理』も登場し、共産主義、フーリエ主義、サンシモン主義が出てくる。文学作品にこうした当時の政治経済学の著作も登場するのはいいことだと思う。文学に実社会の描写も反映されれば、現代人がその時代を想像する重要な手がかりを示唆するからである。サニーおばさんは、人生の大半を大きな木製の肘掛椅子で過ごしたという(174ページ)。そんな重厚な人生をもイメージさせた。2013/01/13

tona

3
上巻は南アの農場を舞台に、農場にやってきた胡散臭いアイルランド人と善良なドイツ人の悲劇的な死、そしてその顛末がユーモラスに描かれている。精神的な結びつきの強いリンダルとウォルダーの関係は、『嵐が丘』のキャサリンとヒースクリフのよう。2014/03/27

Akihiro Nishio

3
珍しい南アフリカ文学。ざっくり言ってしまえば、人のよい老父が異邦人を招き入れたら騙されて財産を取られて死亡、その詐欺師も悪事がばれて追放されたという単純な筋立ての前半であった。作品から伺えるのは、当時の南アフリカの信心深いものの考え方であった。2013/09/29

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