出版社内容情報
幕末期の内政,外交の重要な局面に当った,阿部正弘,堀田正睦,井伊直弼,松平慶永,水野忠精,岩瀬忠震,小栗忠順らを論じる.福地(1841―1906)は遣欧使節の通訳を務めるなど幕府に重用され,のちに新聞人としても活躍した.
内容説明
幕末期の内政、外交の重要な局面に当った阿部正弘、井伊直弼、岩瀬忠震、徳川斉昭、松平春嶽らを論じる。幕府の進歩政略が自ら衰亡を早めた、つまり幕府の衰亡も歴史の進歩であるという視点から、歴史を読み解くには、そこで重任を果たした人物の才能と仕事とを明らかにすべきだとの意図で執筆された。
目次
阿部伊勢守
阿部伊勢守と水戸老公
阿部伊勢守と松平薩摩守(島津斉彬卿)
堀田備中守内閣局面一変
堀田備中守と立儲君議
堀田備中守と外国条約
井伊掃部頭直弼
井伊掃部頭の決心 不時登城
井伊掃部頭の専断
井伊掃部頭 間部下総守上京〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
70
幕末江戸の幕閣で外交・内政に力を発揮した人物、今で言えば政治家ですがその人物評や業績を明らかにしています。阿部正弘、井伊直弼、松平春嶽など好き嫌いはあると思うのですが同時代より若干後に生きた福地の目からの人物評です。評価が分かれる人物はいると思いますが、これらの人々がいなかったら、という仮定の話も出るくらいに実績があったという気はします。2015/07/15
sukham
2
①福地桜痴の名前に暗示される如くに、ナカナカ艶のある文体にて読者を飽きさせない。講談又は落語調とも言えましょうか②隆々たる司馬遼太郎とは視点が異なり、正統派の歴史・書では殆ど注目されずにいるサレド重要な役割を果した幕末の傑物に焦点を当てた著作③桜痴が個人的に親炙若しくは仕えた人もいる④各々の人間・性を観察し政治家としての(必須の)資質・度量・決断力・洞察力ヲバ桜痴は世評に徒に惑わされずに決然と評価している。酸いも甘いも噛み分けた、謂わば風流人の心意気イヤサ粋人ならざらんか⑤国際情勢・外国語への不知揣摩臆測2023/09/22
新 フミト
1
幕末の徳川政権を担った人々の政治理念や政策を解説してくれている。他国の支配下に置かれるかもしれないという危機を背景に世界情勢を知らない朝廷対策は大変だったのだと思った。2018/07/10