出版社内容情報
『碧巌集』ともいう.北宋初期の僧雪竇重顕が古来の禅録の中から公案百則を選び,韻文のコメント(頌)を付した『雪竇頌古』に,北宋晩期の圜悟克勤が解説・論評を加えたもの.「宗門第一の書」といわれる禅の教本で,日本の禅に測り知れない影響を与えた.訳注者四氏の綿密な討議を経て成った,唐・宋の口語に即した周到な新釈.
内容説明
『碧巌集』ともいう。北宋初期の僧雪竇重顕が編んだ公案書『雪竇頌古』に、北宋晩期の僧圜悟克勤が解説・論評を加えたもの。「宗門第一の書」といわれる禅の教本で、日本の禅に測り知れない影響を与えた。訓読文には、原文に多用されている唐宋期の俗語・口語に即して思いきった訓みを付すなど、訳注者四氏の綿密な討議に基づく新釈。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
20
禅の教科書(3頁)。『雪竇頌古(せつちょうじゅこ)』の著者重顕は説法の熟達者(4頁)。因(ひとや)に停まって智を長じ、直得(あげく)に東を指して西を劃し、南を将(もっ)て北と作(な)す(237頁書き下し文)。いいかげんにその場をごまかす(註239頁の12)。いかんぜよ。2015/10/04
roughfractus02
15
11-12世紀の北宋の時代に雪竇が100則をまとめて頌を書き、圜悟が垂示、著語、評唱を加えて現在の形になった本書は、漢文と古典的書き下し文から成り、書き下し文には括弧内に補足された訳も挟まれてある。現代語訳はないが問答や頌や評唱のリズムを体感できる。むしろ現代語訳よりも雪竇の解釈の流れや圜悟の本題から外れたり、反対のことをあえて記すような諧謔が伝わり、禅の教科書として編まれながら解釈のズラしによって言外を示す言葉のジレンマに読者を誘うかに見える。本巻は第30則までを収録。じっくり何度も読む、忘れるために。2023/05/05
記憶喪失した男
8
おそらく、雪ちょうの垂示と本則、圜悟の評唱の「不二鈔」と「種電鈔」、道元の評唱の「破関撃節」からなる。第一則がいちばんよい。華厳経の験教と実教の験教側が書かれている。禅問答は華厳経を教えるために十二世紀に雪ちょうが「碧巌録」を作り、なっとくいかなかった十二世紀に無門慧開が「無門関」を作った。2021/12/22
テツ
5
和訳が載っていないので苦労しながら読了。公案収なので禅宗における天才(という言い方はどうなのか)僧たちの言動がいくつも載っており、読み手がそれをどう理解しどう解釈しどう答えを出すかということは他の物と同じ。思考すること、思考する世界に主体的に参加することで見えてくる世界は確かに存在すると思うし個人的にはこうした公案は大好きなのだけれど、禅宗のお坊さんから見たらこんな楽しみ方はよろしくないのだろうなということもよく理解している。2015/01/21
彼方から
3
極めて難解な本だった。禅宗の名僧たちの言行とその解釈が乗っているのだが、千語万語だらだらと語る西洋的論理ではなく、一挙手一投足で示し尽くすという論理の下で語っているため理解し難い。また、解釈もついているが、ヒント程度で、最終的に「君ならどうだ」と放り出されて、何も解らないままに終わる。だが、つまらない、無責任というのではなく、読者の主体的参加を求める作品であるため、知的に深い面白さがある。どうしても端的な答えが知りたかったら、禅宗のお寺に行って尋ねたり、何人かで集まって考えるのが必要だろう。2012/07/15