出版社内容情報
哲学者としてのヘーゲルを知らない人はまずあるまいが,彼が情熱的な政論家でもあったことを知る人は案外に少ないようだ.ここには,現実の政治問題を具体的に論じたヘーゲルの論文すべてを収めた.殆んど日常の言葉や概念だけで政治的な出来事の意味を解明する彼の鮮やかな手際と情熱は,読者に或る驚きを与えずにはおくまい.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンドバッド
4
本書は、本篇よりも、解説に、大きなメリットがある。2014/04/16
中村禎史
1
ドイツ19世紀前半の哲学者ヘーゲルによる政治論文集上巻。30歳頃に書かれた「ドイツ憲法論」等の他、翻訳者による詳しい解説が付く。 「ドイツ憲法論」は18世紀末の対仏戦争に敗れた原因をドイツの分裂性(諸邦・都市による緩い連合)にあるとし、統合の必要性を説く。諸邦の分立制がウェストファリヤ条約で確定したが、帝国軍を編成し、宗教的分裂は与件として徴兵と選挙の区劃を同じものとして統合国家を作り、外国勢力に搾取されないようにすべき、と言う。 自由とは代議制があって初めて実現するもの、としている点も印象深い。2018/05/04