出版社内容情報
今日もなお涸れることのない生命をもつベルクソン哲学の最後の完成を記念する大著.われわれが生きるうえに根本的な意味をもつ宗教と道徳との問題が独自の社会哲学にもとづいて論じられている.ことに現代文明の危機についての著者の洞察と苦悩とはわれわれの共感をよびおこす.われわれの新しい明日への指針となる書.
内容説明
今日もなお涸れることのない生命をもつベルクソン哲学の完成を記念する大著。われわれが生きるうえに根本的な意味をもつ宗教と道徳との問題が、独自の社会哲学にもとづいて論じられている。ことに現代文明の危機についての著者(1859‐1941)の洞察と苦悩とはわれわれの共感をよびおこさずにはおかない。
目次
第1章 道徳的責務
第2章 静的宗教
第3章 動的宗教
第4章 結び―機械学と神秘学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
19
しばらく「ドン・キホーテ」の文学で、気持ちがゆったりしたので、ベルクソンに戻ってみよう。「創造的進化」の対の書物と言われる、この本に戻ってみよう。以前に少し読んでいたが、今回は少し読み進むかな。ベルクソンは文学に造詣深く、感性も豊かなので普通の哲学書より読み易い気がする。道徳と宗教の対比で推論している。宗教を道徳規範としているのは間違いない。詳しく解説している。社会的秩序と自然的秩序から話が始まる。スペンサーの社会有機体説が基盤らしい。自然的秩序とは部落の小さい社会。まあギリシャのポリスも閉じた社会。2023/10/16
ラウリスタ~
4
1932年の本。道徳と宗教、さらには人間社会の成立過程を考える。ルソーらの直系後継者であり、やはりというべきか文化人類学的な要素も含まれていて、どこかものすごい画期的というわけではなさそうだが、無難に名著なイメージ。訳者注にもある通り、その一見すると平易すぎる思想のせいで十分に深く読まれてこなかったようだ。神秘主義と科学との関連など20世紀初頭的な問題についても考えられている。2015/01/04
井蛙
3
閉じた社会は共同体内の生の保護と外部に対する防御を目指している。これは自然的な状態である。一方で開いた社会は人類をイデーに成立するものであり、宗教的天才によって導かれる。前者における静的宗教および後者の動的宗教は質を異にしているため、社会を単純に拡大することによって前者から後者への移行は起こらないとされる。他方、動的宗教は歴史的に先行する静的宗教の形をとって現れるともいわれる。ここら辺の錯綜した事態は措くとして、開いた社会の実現を天才に託すという考えは大戦期の哲学にしばしば見られる儚い希望に映る。2017/12/18
qwel21
3
くり返し読みこなさないと内容についていけないが、人間存在の根源にグイグイ迫る考察が興味深い。しばらくベルクソンに浸りたいかも。2010/01/06
arcturus
3
先に『創造的進化』を読んでおくべきだった。いずれにせよ実力不足で読解できていない。再読といわず、十回二十回読み返さないといけないようだ。2008/07/23