出版社内容情報
諸子百家とは，紀元前三―五世紀，戦国の動乱期に輩出し，思想の黄金時代を築きあげた人びとのことである．これらの学者・思想家たち，孔子，墨子，孟子，老子，荘子，韓非子に，従来の漢学にとらわれない新たな思想史的観点から迫っていく．百家争鳴時代の自由主義の中に，現代に通ずる思想が生きいきと脈搏っていることを見出すであろう．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
24
中国の戦国時代、「キングダム」前夜である。わずか数十年の間に、儒家、道家、墨家、兵家、法家などが誕生し、互いに高め合い、やがて秦帝国が中華統一を果たす礎になるという壮大さが良い。特に興味深かったのが、その後途絶える防衛主義の墨家と、利己主義の楊家の話であった。いずれの思想も非戦を尊び、それが覇者への道であると説くにも関わらず、武によって統一されてしまうという皮肉。キングダムに登場する各国の王や宰相、将軍も登場しテンションが上がる。理論面の解説に偏り過ぎず、歴史との関係で読み解こうとするところが良かった。2017/07/11
壱萬弐仟縁
14
子路によると、「古典を読書することだけが学問ではない。知識はそれ自身のためだけに求むべきものではない。真理のために真理を探究するのではなくて、天下、国家、全人民にじっさい役立てるために真理をさぐるのだ」（１７頁）。実学が大事なのだ。図書館の本なのに、赤鉛筆で右線が引かれているのはよろしくないな。孟子のところでは、「羞恥心のないものも非人間であり、謙譲心のないものも非人間であり、分別心のないものも非人間である」（１５３頁）。特に、謙譲が日本人には失われてしまったのではないだろうか。お盆でも爆竹やる輩がいる。2013/08/15
mass34
9
第六章人間の性は善かー孟子と告子の対立ー孟子のとなえている性善説は、ビジネスのXYZ理論の性善説とちょっと違う感じだと思う。本書では、孟子の議論の一貫性を問題にした箇所があったり、墨子学派の告子との論戦で、孟子が答弁に窮して意味をなさない言葉をはいたとか書かれてある。確かに、なるほどなのですが、貝塚先生は孟子のことをそんなに好きじゃないのかなと思ってしまった。第七章古代思想の綜合ー荀子と韓非子ーでは、荀子に関してアリストテレス的とか言いながらいい感じに書いてあるのです。なんだかねぇ。荀子も読めですかねぇ。2022/01/03
シンドバッド
8
半世紀前の発行の本ではあるが、孔子から荀子・韓非子までを、大局的に、かつ、史的につかむことができる。2015/11/07
マーンムート
3
貝塚先生の現代口語訳がクール。2011/07/26
