出版社内容情報
一七世紀ヨーロッパに始まる「科学革命」が日本に波及したのは,ようやく一八世紀後半のことである.この西欧近代の科学的認識をいち早く受け入れたのが天文学者たちであった.六世紀以来中国天文学の圧倒的影響下にあった日本が近代天文学というこの全く異質の認識体系をどう受けとめたかを,文化受容の一典型として論究する.
内容説明
17世紀ヨーロッパに始まる「科学革命」が日本に波及したのは、ようやく18世紀後半のことである。この西欧近代の科学的認識をいち早く受け入れたのが天文学者たちであった。6世紀以来中国天文学の圧倒的影響下にあった日本が近代天文学というこの全く異質の認識体系をどう受けとめたかを、文化受容の一典型として論究する。
目次
都の天文博士
江戸の天文方
長崎の通詞たち
西洋宇宙観に対する仏・儒・神の反応
大学の天文学者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazutox
3
1972年、科学史家による本。この著者は「近世日本の科学思想」に続いて2冊目。内容は渋川春海など江戸時代の学者の話が大半。副題は「天文学は…日本にあっては西洋認識の尖兵であり、ひいては日本の近代化の先兵の役割を担ったのである」との趣旨から。ただ、江戸時代には西洋の天文学はごく一部の学者にしか影響なかったわけで、「尖兵」というほどのものかな、と思いました。2023/06/13
スズツキ
3
日本と諸外国の天文学の差異、また日本が中国の暦などを導入するうえでどのような動きがあったかについての分析。西洋がアリストテレシズムによって新理論を根絶させようとした動きが活発だったのに対し、中国はひたすら実務的に考えていたことの違いが面白い。2016/03/03