出版社内容情報
バナナやエビを通じて,アジアと日本の関係を考える…….この画期的な方法を,著者はどのように生み出したのか.ベトナム戦争から始まったアジアとの三○年以上におよぶつきあいの軌跡をたどりつつ,「歩く・みる・きく」を実践しながら東南アジア各地を旅し,学んだ日々を語る.急逝した著者の遺稿に描かれた,ダイナミックな東南アジア入門.
内容説明
バナナやエビを通じて、アジアと日本の関係を考える―。この画期的な方法を著者はどのようにして生み出したのか。ベトナム戦争から始まったアジアとの三〇年以上に及ぶつきあいの軌跡をたどりつつ、「歩く・みる・きく」を実践しながら東南アジア各地を旅し学んだ日々を語る。急逝した著者の遺稿に描かれた、ダイナミックな東南アジア入門。
目次
1 フィリピンへ
2 マラッカ海峡にて
3 バナナとマングローブ
4 モノから考える
5 海の側からみる
6 アジアを歩く
著者等紹介
鶴見良行[ツルミヨシユキ]
1926年、ロスアンゼルスに生まれる。1952年、東京大学法学部卒業。財団法人国際文化会館企画部長、上智大学講師、龍谷大学教授等を歴任。1994年逝去
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感想・レビュー
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isao_key
7
68歳で急逝された後、主に1989年に上智大学で行われた連続講演「東南アジア-私の生きた時代-」を元に作られた本。『バナナと日本人』読んで思ったが、著者の文章はとてもすっきりとしていて読みやすい。解説で生前「高校生でも読める文章を書け」と言っていたとある。また本書には知に着いての考え方が述べられている。「知は知だけでは力になりません。知は運動と結びついて初めて力になります。(中略)痛みがあるから運動には馬力があるが、力だけでは暴力になりかねない。無知は恐ろしいものです。」と行動だけの市民運動を諌めている。2013/11/22
くすりん
6
東南アジア探求の第一人者、鶴見良行さんの本3冊目。鶴見さんがどういう人か知るには、この本がまあ2冊より情報が多かった。また、何故東南アジアを題材にしているのかも書いてある。タメになるのは、その手法。歩く、撮る、記録し、考え構想する。目と足は繋がり、手と頭は繋がっていると仰っている。たしかに物を考えたり構想する時はパソコンより、白紙に色々書く方が形になりやすい。この人の本も人格が滲み出ていて、他の本も読みたくなる。2020/01/28
Hiroki Nishizumi
5
途中までドキュメンタリーは古くなると内容も質が落ちてくると感じていた。ところがバナナ、エビ、ナマコが登場してきたあたりから経年劣化が感じられなくなった。終節の村井さんの弔辞にも似た文章を読んで、鶴見良行を読み直そうと思った。2020/06/03
てくてく
4
文章として残されているものは、書き手の恣意や理想といったものが含まれているため、実際とは異なることもある。大上段から振りかざされる理論には違和感がある。著者は自ら歩き、見ることで、物に語らせる、物からアジアと日本について考えさせるという方法をとっている。研究者としてとても興味深かった。2015/02/11
職商人
4
鶴見さんの本は二冊目。かつて日本に偉大な東南アジア研究のジャーナリスト、ルポライターにして孤高の学者さんがおられたのだと感心しました。お亡くなりになって随分と経ちましたが、色あせるどころか今こそ必要なアプローチの仕方、思想と思います。リアルタイムに読んでいるべきだったと悔やみます。今年一年かけて「鶴見良行著作集」を全部読もうと決意した次第です。2013/01/14