出版社内容情報
イギリス中世のバラッドに登場したロビン・フッドは，やがて演劇や音楽劇の主人公となり，そして詩や小説，童話や映画のヒーローとなって，時代のなかを生きてきた．ロビン像はどう展開・変容してきたのか，人びとの心を捉え続けてきた魅力とは何なのか．イギリス民衆文化の伝統を体現するヒーロー像が鮮やかに浮かび上がる．
内容説明
イギリス中世のバラッドに登場したロビン・フッドは、やがて演劇や音楽劇の主人公となり、そして詩や小説、童話や映画のヒーローとなって、時代のなかを生きてきた。ロビン像はどう展開・変容してきたのか。人びとの心を捉え続けてきた魅力とは何なのか。イギリス民衆文化の伝統を体現するヒーロー像が鮮やかに浮かび上がる。
目次
序章 物語の舞台を歩く
第１章 中世バラッドの世界
第２章 ルネサンス演劇にあらわれたロビン
第３章 近代の民衆のメディアのなかで
第４章 音楽劇、スペクタクル、パントマイム
第５章 ロマン主義の時代
第６章 児童文学の世界へ
第７章 映像のメディア
終章 ロビン・フッドとはなにものか
著者等紹介
上野美子［ウエノヨシコ］
１９３９年、兵庫県生まれ、東京女子大学英米文学科卒業、東京大学大学院修士課程修了、博士（文学）。現在、東京都立大学教授。専攻、英文学
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感想・レビュー
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鬼山とんぼ
4
シェークスピア研究のため渡英したら、彼が書いたジョン王(マグナカルタで著名)の物語には登場していないものの、ジョンの敵役として有名なロビンフッド関連の古典や演劇にのめりこんでしまったという女性研究者によるまとめ。著者は想像もしなかったろうが、新型コロナ騒ぎの最中にロビンフッド証券という会社が手数料無料で一獲千金の投機が出来るということで爆発的人気になり、一部の銘柄が暴騰した。だが「ロビンフッドの話はばか者にふさわしい」という諺が500年前からあるように、荒唐無稽な儲け話には必ず落とし穴があるものだ。2020/10/02
tieckP（ティークP）
4
「アイヴァンホー」に出てきたこともあって、ロビン・フッドについて興味が湧いて読んでみた。一つに定まった物語がなく、時代ごとに特徴が異なるロビン・フッドの物語についてよく整理された本だと思う。まあ全般にあらすじしか述べられないので、一つくらいは典型的で詳細なすじを読みたい気もしたけれど、それは少年文庫あたりから一冊選んでくるべきなのだろう。代わりにこの本は、古典としての英文学史とは違う民衆演劇の系譜が丁寧に説明されるので、イギリスの口承文芸やメディア史に興味がある人が読むと、予想外の収穫があるかもしれない。2013/07/14
kaizen@名古屋de朝活読書会
4
岩波新書愛好会】地域伝承に根ざした物語として、ロビンフッドは有名だ。 さまざまな物語に展開し、一つの立場を伝えていく。 あるときは美化され、あるときは大袈裟になる。 イギリスのよき時代を象徴する人物の解説本。2010/03/09
鍵窪錠太郎
3
名前は良く聞く「ロビン・フッド」についてちょっと理解を深めようとしてみた。登場人物だけが共通で(それも増えたりするが)、登場人物の人物像やストーリー、価値観などが時代によって変わるなど、ロビン・フッドの実像はアーサー王以上に掴めなかった。しかし人々から関心を買い続けるアウトローヒーローで有り続けているのは分かったし、昨今の日本のゲームに出て来るロビン・フッドもまた有りだなとは思った。「ロビン・フッド」の変遷を見るには良い一冊だった。類書は…当面チェックしなくても良いかな。2017/08/14
いきもの
3
タイトル通り「ロビン・フッド物語」に関する本。ロビン・フッドは実在性が定かならぬ人物ということで、その時代背景ではなくあくまで物語の変遷の歴史を追っている。時代ごとにその物語の筋やキャラクターが変わっていくのが興味深い。現代においても今なお変化を続ける伝説のヒーロー、ロビン・フッド。英雄像の変遷という意味でも面白いかもしれない。2014/04/16
