岩波新書<br> 瀬戸内の民俗誌―海民史の深層をたずねて

岩波新書
瀬戸内の民俗誌―海民史の深層をたずねて

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004305699
  • NDC分類 382.174
  • Cコード C0239

出版社内容情報

古来から日本列島の大動脈であり,アジアの諸地方とつながる海の道で,人々はいかに生きてきたか.身分制社会の底辺に置かれた海民の社会と文化を,長年の現地踏査をもとに,様々な伝承・信仰・風俗などから浮き彫りにする.

内容説明

風光明媚な内海は、古来から日本列島の大動脈であり、同時に、身分制社会の底辺で海の民が「板子一枚下は地獄」という過酷な労働を生きた場所であった。長年の現地踏査をもとに、アジア諸地方とつながる海の世界を、水軍の発生史や海神伝承、さまざまな信仰などから描き、今は消えた「家船」や「おちょろ船」の風俗を伝える。

目次

第1章 わが故郷・平の浦
第2章 瀬戸内の大自然と海賊の発生
第3章 越智・河野水軍の起源伝承
第4章 記録・文学に出てくる海民像
第5章 屠沽の下類・一向一揆・村上水軍
第6章 漂海民・家船民俗の終焉
第7章 新興港町の栄枯盛衰

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

韓信

2
著者のルーツである瀬戸内の海民の歴史と民俗を、伝世文献、口碑、実地踏査から掘り下げる。被差別の実態、平家落人伝説、水軍の盛衰、中国などのルーツを示唆する伝承、フロイスや朝鮮回礼使、紀貫之や清少納言らが記録した具体的な航海の様子、アウトカーストへの救済として流行した一向宗など鎌倉新仏教、おちょろ船をはじめ近世新興港町の盛衰と風俗等々、粗々ではあるが多角的に瀬戸内の海民の世界を描き出しており、生まれも育ちも北海道内陸の自分には新鮮な内容ばかり。とくに日本にもいた家船の漂海民の技術と農民との距離感などは興味深い2023/01/17

Hisashi Tokunaga

2
憲法学者だった人権弁護士遠藤比呂通氏が釜ヶ崎での先達として敬服した沖浦和光氏の著作という事で読んだ。戸籍に通底する海賊・水軍・家船あるいは島々に点在する平家落ち武者の村々。瀬戸内の歴史が奥深いことを抉って見た好著ですね。さて、沖浦氏は大阪出身で、東大時代にマルクス主義者となり、大森八中の英語の講師や野球部部部長の縁でなべおさみが生徒として私淑。長じてなべの芸能ー被差別民ーヤクザなどへの関心に沖浦のアドバイスがあったと聞くが、本書で頷けた。K大総合雑誌「展望」に沖浦氏の執筆があるが、正にマルキストだね。2021/05/08

志村真幸

2
 著者の父祖の地である瀬戸内の島を出発点に、民俗学の視点から海民の歴史へ踏みこんだ一冊である。  平安期の海賊、中世の水軍、能や旅日記に登場する漁民の姿、近世の家船、近代のおちょろ船など、多様な話題がとりあげられており、これまで文書の歴史では描かれることのなかった海民のイメージが浮かび上がり、わくわくさせられる。  しかし、著者の著作はいつもそうなのだが、想像過多というか、推測でものを語りすぎるきらいがあり、どこまで信じていいものか……。 2019/05/14

にゃん吉

2
古くから海上交通の要路であった瀬戸内海の民俗誌。海民のルーツ、海賊、水軍の興亡、廻船が立ち寄った港町の盛衰等、古代から現代まで幅広く記述されています。水軍と一向一揆との関わりが興味深くありました。  2019/05/03

よきし

2
非常に面白く読みました。親鸞の悪人正機説の悪人とは漁師・猟師のことであった、とか。米至上主義の政府に貶められた人々の生きてきた歴史をたどる旅。

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