出版社内容情報
「しばてん」とは、カッパに似た化け物。その生まれ変わりといわれる太郎のたどる運命を、深いペーソスをたたえながら描きます。 4才から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
122
土佐の化け物しばてんの生まれ変わりと見なされ村人により山へ追い立てられた捨て子のたろうは、人恋しさから村人を救うが…。逼迫すればどんな屁理屈も罷り通る人間のどうしようもない卑怯さを扱ったテーマがとにかく重い。しかし、土着的で大胆なデフォルメを駆使して描かれた作画は躍動感に溢れ、特にしばてんに至っては絵本から躍り出てきそうな力強い生命力。これぞ作者の真骨頂。だからこそ人柱にされたたろうの無言が沁みるのだ。そんな人間の根源的な脆さを汲んだ上で、全てを包容せんとする作者のスタンスが全編からひしひしと感じられる。2024/01/22
ゲンショウ
22
小学校にて拝読。高知県に伝わる、河童の様な妖怪のお話しです…が、創作絵本と銘打って居る通り、しばてんをモチーフにした、世知辛いお話しでした…。誰かの不幸の上にしか幸福は築けないのか…?!命題ですね…。2012/06/04
はしけん
16
小学校の読み聞かせに使いました。衝撃作です。お気に入りの絵本で、オススメ本。もっと支持されたらと思ってます。ただ、人間の暗部が描かれてるので、何才位に読ませたらいいのか悩みどころ。2012/02/01
遠い日
13
人間の身勝手、エゴが心に突き刺さる悲しいお話。苦しい生活の中で、自分たちを助けてくれたしばてんを、持ち上げたり、役人に売ったり、全く以って村人たちのその場その場の対処に嫌気がさす。しばてん、そのまっすぐな心はそれでもいくばくかは人の胸の底に残ったか。2018/02/15
mari
13
いじめ関連本。容姿が違うからと追いやって、使えるときに使って役目が終わったらまた追い出す。本の中では大人とも子どもとも書いてないが、人の身勝手さって、、と考えてしまう。後書きの田島さんの言葉がよい。2014/01/05