目次
陸と海の巨大帝国(世界の改造者;草原のゆらめき ほか)
ゆるやかな大統合(内陸争乱から東西和合へ;帝国の経済システム)
解体とその後(天暦の内乱;沈みゆくモンゴル世界;モンゴルの裔たち)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イトノコ
28
内戦を制し大カアンとなったクビライ。広大な領土を支配するためのシステムを次々打ち出すが、彼亡き後帝国は衰退の道を辿る。/クビライ即位〜帝国の終焉まで。通して読むと、チンギス、クビライ以外の皇帝はほとんど短命であったり無能であったり。そしてほぼ常に内紛をしている印象。それでよくクビライ死後も国家を保てたもの。よほどクビライの構築したシステムが優れていたのだろう。陸路・海路の両方での貿易路を作り上げ、そこでの利潤のみで帝国が運営できたとは凄い。元の後の明の方が貿易が盛んなイメージだったが、逆だったようだ。2022/11/28
coolflat
20
フビライ以降、帝国解体から滅亡までを描く。フビライの国家システムについて。それは軍事と通商がタイアップした国家であり、3つの要素が組み合わさったものだった。第一は、モンゴル支配の根源である「草原の軍事力」。モンゴル騎馬軍団を中軸に、様々な人脈からなる軍隊をモンゴルの名のもとに再編成して、軍事をシステム化した。第二は、広大な二重構造の帝国を直接・間接にコントロールできる国家行政機構と財政基盤の確立。第三は、その富と生産力を基軸に、フビライ政権という国家手動のもとで、ユーラシア全土にわたる物流を作り出したこと2020/05/22
俊
20
大元の最盛期からテムルによるパクス・モンゴリカを経て、大帝国は衰退の時代を迎える。クリルタイや宴会政治といった旧習を大事にしながら、新しい人や技術を積極的に取り入れる。この柔軟性がモンゴル帝国の強さの源だったのではないかと思う。草原の小さな部族から大帝国へと変貌を遂げたモンゴルは本当にロマンの塊。様々な負の側面はあるけれど、東西の世界を繋げた功績は大きい。2014/09/24
かんがく
11
チンギスの登場から、クビライによる拡大、そして統合、滅亡、その後継国家を上下巻で描く。中国から中東やヨーロッパまで話が広がり、登場人物も多くて混乱するが、それだけモンゴル帝国が広大であるということ。宗教や人種にこだわらない合理的な重商主義国家であることが諸政策からわかった。2017/12/28
Aa
8
クビライ以降の動きは初めて知ったが、カイシャンのもとで、クビライが思い描いた政治・経済そして海陸の両方で障壁のないパクス・モンゴリカといえる世界を作り出したところの規模の大きさに驚いた。そして、元寇はあくまでのその枝葉ともいえるくらいの動きだということは、日本史だけ学んでいたら気がつけないところだった。登場人物の多さと、地理的範囲の広さに混乱したが、メモをしながら読んだら理解が進んだ!2019/05/09