出版社内容情報
【内容紹介】
「近代」そのものが問われる歴史的転換期にさしかかっている今、日本はその経済力を背景に、国際社会のひのき舞台におどり出た。だが日本は、一流経済国として果すべき義務と責任がわからないままに、世界各国からの風あたりをまともに受けている。このような危機的状況にあって、日本人はどのように対応すべきなのか。戦後、日本人論の嚆矢を放った著者は、日本人の個性を据え直し、国際社会での独自な日本人の生き方を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momogaga
43
積読解消。1976年刊行。日本が世界第2位の経済大国として、世界から注目されていた頃の日本人論。著者は日本人の美点として、「許し合い」を掲げている。21世紀となった今も世界は憎しみの連鎖が続いている。「MOTTAINAI」の次は「YURUSHIAI」が世界の合い言葉になれば良いと思った。2022/09/21
nobody
13
唯名論というのはこうした本から発祥してくるように思われる。アメリカ人は〜、日本人は〜という規定は成立するだろうか。普遍化を図るには余程の慎重さを要する筈だが会田には日本人の良さを断じるに些かの躊躇もない。蓑田胸喜といい平泉澄といい保守派の元老的重鎮の言説には狂性を覚える。これは単純な讒謗ではなく国事を成すバイタリティの源であり夏堀正元が「国家という精神病者」という所の精神的中枢である。平泉に頭から感化されて死んでいった者は山ほどいるが責任を感じず恬として切腹もしないのは己の正しさを信じて疑わぬからである。2019/06/24
kitaji
3
自分の事がわからないように自国日本について気づかない事を色々な角度から書いている。 短所長所の見識やユダヤ人との対比など、おもしろい。2012年現在でも共感できること多し。2012/03/10
もあ
3
自分は、この本が気にいった。国際的関係を、人間を中心として考えている。各国の文化がとやかく言わないが、自国の文化を大切にするというところに大いに共感を覚える。70年代に書かれた本であるが、現在の日本にもまだ通じるところがあるようだ。でも、時代の移り変わりも感じる事が出来た。国際人としてできたてほやほやの日本人。楽しいなぁ。国際人ってなんだろう。2010/12/14
yama
2
講演を文字起こしたもので読みやすいのですが、内容が私にとっては深刻で「世の中が嫌」になってしまいました。ほぼ40年前のものですから、今はまた状況はかわってい(るとは思い)ますが、1976年当時のアメリカ社会との対比で日本社会とその社会で生きる私たち日本人の生き方の問題を論じています。繰り返し読まないと消化不良になるかもしれません。2016/08/10