出版社内容情報
【内容紹介】
王朝貴族の間に広く愛唱された、白楽天、菅原道真の詩、紀貫之の和歌をはじめ東西の珠玉の歌謡集である。詩歌管絃に秀でた藤原公任の洗練された感覚で選びぬかれた俳句秀詩は、自然の美をあまねく歌い、男女の愛怨の情(こころ)を綴り、千年経た今日なお人々の心に共感をいざなう。詩を口ずさめば平安宮廷の美とともにシルクロードの遠いかすかなため息も聞えてくる。『平家物語』以下中世文学に多大な影響を与えた文芸史上権威ある作品でもある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
57
平安中期、藤原公任によって編まれた和歌と漢詩のアンソロジー。‘朗詠集’というだけあって、王朝人が日常的に好んで口遊んでいたであろう詩歌が八百余り集められている。中でも漢詩は一編全てが掲載されておらずワンフレーズだけという徹底ぶりで、そこにはこの時代の美意識が凝縮されている。また公任と同時代を生きた紫式部や清少納言の作品にも出てくる詩歌があり繋がりが見えて楽しい上に、実際にその部分が愛誦されていたということがわかるのが興味深い。今後通読することはないだろうけれど、折に触れて読み返していきたいと思う。2021/03/27
零水亭
3
漢詩パートは美しい一聯を抜き出したもので、本来なら詩全体の流れの中で味わうべきなのでしょうが、入門書と割り切れば不満はないと思います。寧ろ、美しい詩句から漢詩の世界に入るのは「あり」だと思います。和漢朗詠集を読んでから文選、白氏文集に進んでいった読者も多かったのでしょう(但し、この講談社学術文庫版で白文が付いていないのは、やはり不十分に思います)。意外と日本人の漢詩も多いのも注目したいところです。和歌パートでは、女流歌人で伊勢・中務母娘が気持ち多めだったような…
紫暗
2
王朝貴族が親しんだ和歌と漢詩が列挙されている一冊です。とにかく数が多いので白文を省略してあります。どうしても白文を見たいという人は古典全集などを参照する必要があります。とはいえ、書き下し文と訳文は載っているわけで、この分量を一冊にまとめてあるというのは努力が見えるところだと思います。一冊常に手元に置いて四季折々に開いてみるには良い資料だと思います。2014/12/26
check mate
1
王朝貴族が愛した漢詩と和歌。一家に一冊備え付けると折に触れて大変重宝すると思われる。2014/06/26