出版社内容情報
【内容紹介】
華厳中興の祖といわれる明惠上人は、教団を組織せず、終身釈迦を父と仰ぎ、自ら遺子と称された。上人の法話は「悪人なお隠れたる徳あり、況や一善の人に於てをや」と差別がなく、人はただ「あるべきやうは」の7字を心懸ければ世の中に悪いことはあるはずがない、と温順な言葉で説かれている。が、この一見やさしい教えの数々が、実は華厳哲学と美しく冥合して輝かしい光を放つ。本書は、その上人の伝記を歴史の大局から見た注釈書。
感想・レビュー
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紙狸
18
1980年刊。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公北条義時の息子が泰時。泰時に影響を与えた宗教者が明恵(みょうえ)上人だ。この伝記は、明恵の信仰生活にくわえ、明恵と泰時の政治を巡る会話も記している。信仰面で知られるのは「あるべきやうは」というモットー。現代語訳は「それぞれの分に応じてのありようは」と解釈する。政治面では、後鳥羽上皇に近かった明恵に対して、泰時が承久の乱について釈明するくだりが生き生きとしている。武士の世となった鎌倉時代の宗教性に触れることができる一冊。訳・注釈・参考が充実している。2022/03/30
零水亭
4
(10年以上前に一度流し読みしただけ)自分には厳しく、他人には優しく、そんな漠然としたイメージ。機会があればまた読みたいです。
丰
0
Y-20, 3刷2006/05/12