内容説明
日本の各地に伝わる風習や伝統、また人々のなにげないことばや行動の背後に発想はひそんでいる。本書は、日本人の歴史や体験のなかから、具体的な事例や事象を取り上げ、その底を共通して流れる庶民の考え方や論理を闡明し、あらためて日本社会の構造を浮きぼりにした。日常的なことばや論理を正しく捉え、吟味することにより、複雑な日本の現実社会を腑分けすることが、普遍的な社会科学の構築に役立つことを示唆した期待の新版。
目次
第1部 日本人の発想(現実と認識;日本人の敏感さ;〈おしゃべり文化〉の創造;認識構造の変革;アニミズムの伝統;原始王制のモデル論;見立て・しつけ・仕立て;〈あいたい〉理論;不完全性への求道;日本の政治文化)
第2部 日本社会の論理(ナルということ;日本の都市;日本の村落;ふるさととは何か;家千軒あれば共食いできる;公私の別―タテマエとホンネ;実社会―大人と子供;複居文化と個室文化;世論と人心;抵抗―はずれる・かくれる・たたる)
第3部 日本人への提言(日本人の〈遊び〉観;豊かさとは何か;死ぬ者・生きのびる者;自由について;うそ教室のすすめ;対話教室のすすめ;平和共存;器量―肚とやさしさ;〈家族度〉と経済摩擦;〈軍隊家庭〉の克服を!)