出版社内容情報
【内容紹介】
東アジアの仏教圏には数多くの観音霊場があるように、観音信仰は昔から庶民の心の中に力強く根づいており、『観音経』は『般若心経』とならんで最も広く読誦(どくじゅ)されてきたお経である。このお経を一心に唱えれば、観音菩薩は聖観音、千手観音、馬頭観音など、三十三身に姿を変えて現われ、人々の苦しみや悩みに応じて教えを説いてくれるという。宇宙の根本原理を見事に血肉化した観音教典のこころを読む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
17
「本所おけら長屋」で一休みして、あんまり読んだことがない観世音菩薩のことを知りたくなり、観音経ではどうかなと思う。般若心経でも出てくるが、観世音菩薩は空のことと六波羅密のことを概略している。ところが観音経ではもともと法華経の一部であり、観世音菩薩の名前を唱えることで、災難を免れると言う。観世音菩薩は人の災難の音を聞いて援助の手を差しのべると言う。著者は仏教史が専門のようだが、経典にも相当に詳しい。また時々西田幾多郎や西洋のキリスト教や哲学も参考にしている。私より二十年も前の人だが現代人の心にも参考となる。2024/01/10
零水亭
3
(図書館本で読みました)分かりやすく感じました。よ〜く考えると観音経は般若心経と同様、殆どの宗派の在家信者用のお経に収録されていますネ。つまり、キリスト教や神道の家でもない限り、実はかなり身近なお経とも言えるかと思います(読もうと思いたてば、すぐ読める訳です。その際、こういう解説書があるといいのです)。
Leonard
3
聖徳太子以来、日本の仏教に脈々として受け継がれてきた法華経の中でもハイライトがこの観音経。お経そのままはとても歯が立たないけれど、これは門外漢にはうってつけの分りやすい解説本です。2012/12/04
りんご
2
講話なんで,観音経に関連して,いろんなことが枯れてます。観音経だけの解説を読みたい場合は,他の本をお勧めします。2021/10/27
くらぴい
1
鎌田茂雄先生は、仏教の文献を幅広く渉猟し、文章も肌にあう誠実な文体です。観音経は折に触れ読みなおします。